多井隆晴が初V後に掲げた次の恩返し「塚本新監督を男にする」藤田監督の後任とともに歩む新たなシーズン/麻雀・Mリーグ
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 5年目にして初めての栄冠を掴んだ渋谷ABEMASの多井隆晴(RMU)。恩人の藤田晋前監督に優勝シャーレを渡せて感慨もひとしおと思いきや、チームの絶対的エースは「また1からのスタートのつもりで」今期に臨む。塚本泰隆新監督を「男にする」と熱く決意表明した多井。リーダーとしての自覚も感じながら、確かな雀力を武器に、チームを圧倒的勝利に導く。

【映像】Mリーグ2023-24シーズン 開幕直前インタビュー

-初優勝の実感は。

多井隆晴(以下、多井) 優勝して数日間は浸っていましたが、他の新チームの話題やドラフトがあったり、僕としてもMトーナメントに出場していました。シーズンが終わってからも麻雀に関する話題が豊富でしたけど、これは良いことだと思います。ABEMASの優勝だけで引っ張るなんて、面白い業界とは思えないので。また1からのスタートのつもりで、今期に向けて心構えはできています。 

-5年かけてようやく念願成就だった。

多井 例えばファイナルにもセミファイナルにも進めないでレギュラーシーズンもマイナスの年がいくつかあれば、喜びもあるかもしれませんが、うちとしては常にレギュラーシーズンは上位にいて、プラスポイントで、優勝争いもして、みたいな感じだったので。遅かったくらいですよね。そういう意味ではやっとですけど。

-ホッとした気持ちが強かった。

多井 やっと藤田さんにシャーレを渡せたことは感慨深かった。あんなに喜んでいる藤田さんを見たことがなかったので、うれしかったです。

-今期から塚本泰隆監督に代わった。チームの中では大きなポイントに。

多井 大きいですね。優勝チームの後任になるのは、相当なプレッシャーだと思います。そして、あの藤田晋の後ということで、絶対に比べられると思う。ここは僕がつかもっちゃん(塚本監督)をしっかり男にしないとですね。

 つかもっちゃんにはRTDリーグの頃からABEMAのプロデューサーとして頑張ってもらっていて、麻雀プロとか麻雀業界に理解度が少ないスタッフが多かった中、あの人は僕らの気持ちを理解してくれる初めてのプロデューサーだった。年齢も僕より下なんですけど、いつも僕らの気持ちを汲んでくれています。

 ここはやはり、僕が男を見せないと。そして塚本監督を男にしないと、という気持ちです。全然、昨期までと気持ちが違いますよ。

-昨期までは藤田前監督に恩返しという気持ちがあった。

多井 それをやらないと引退できないという感じでした。なので、これからはちょっと違う感覚ですね。

 監督を育てるではないですけど、僕もリーダーとして年々成長しているので、大変だと思うけど、塚本監督も一緒に育っていけばいいと思います。

-今期のチームオーダーは。

多井 つかもっちゃんが全部を決めますよ。監督ですから、何も不安はないです。「今日は多井さん行ってください」でも「しばらくは若手を出したい」でも、何でも従います。

-スタイルとしては踏襲するイメージか。

多井 恐らくそうだと思います。藤田さんから今、いろいろと話を聞いているんじゃないですか。「松本はどういう感じに行きたがる」とか、「基本的に多井さんは出たがらない」などね(笑)。監督同士の引き継ぎをしていると思いますよ。そこに関しては何も聞いていないです。

-チームが増えたが、リーグ自体の雰囲気は変わりそうか。

多井 変わりますよ。例えば誰が強い、誰が弱いかは固定メンバーで何年もやれば自ずと出てきますが、そこに誰か1人入っただけでガラッとそれが変動する。今まで負けていた人が急に勝ったりするゲームでもあるし、これは強烈だと思います。特にBEASTさん(BEAST Japanext)は個性的だし、まるで変わるでしょう

-戦い方も変わらざるを得ない。

多井 変わるでしょうね。例えば鈴木大介さんが入れば、そこにいるからこその麻雀になる。それぞれが鈴木大介さんへの戦略を考えてくるわけで、そうなると僕もそこに対応する。新選手が計7人入ってくるわけですから。とんでもなく変わると思います。

 ただ、一方で麻雀には絶対的な能力もあって。誰が相手だろうがある程度総合力が高いやつが勝利を積み重ねる。その総合力はABEMASが一番高いと思っています。しかも、次点とまあまあな差が開いていると自負しています。だから、どのチームが入ってこようが、どんな戦いになろうが、うちはコンスタントに結果を残せるかと。一方で、すごく苦戦するチームも出てくると思います。

-地力がしっかりしていることがシーズン通しての安定感に繋がる。

多井 地力がしっかりしているというか、いろいろな経験を積み重ねている選手は麻雀が強いんですよ。それと、うちの強みとしては各団体の選手が揃っていること。いろいろな村の文化を知っている。これはすごく強みになります。

 1つの村の文化しかないと「魚を生で食べるなんて信じられない」というチームもあれば、「お肉までうちは生で食べられるよ」というチームも出てくる。麻雀は考えられないことが起こるわけですよ。10年も20年も同じ1つの団体にいると、どうしても偏りが出てしまう。

 Mリーグで結果を残せていない人は、偏りがすごく激しいんです。それを無くすために、いつも僕らは4人で各団体のリーグ戦を見て、各選手を観察して、会話をすることをこの何年間積み上げてきているんです。これをしているのと、していないのでは相当な差になります。僕は全団体のリーグ戦を見ていますし。

-新Mリーガーで、注目選手を敢えて挙げるとすれば。

多井 男性では猿川さん。対戦成績がいい勝負になっているので、Mリーグの舞台では差を付けなければと思っています。場に慣れるうちに叩いておかないと。

 女性だと中田花奈さんが気になりますね。やはり彼女は持っています。まだまだ総合力では私の方が上だと思っていますが、会うたびに力を付けていますし、僕なんかよりも大きい舞台に今まで立ってきているので。その経験値は何物にも変えられないです。

 各団体のリーグですごい結果を残してもMリーグで結果を残せない人ってたくさんいるじゃないですか。大きい舞台に慣れていないんですよ。いつも練習で9秒台が出るからといっても、オリンピックで同じように走れるかといったら走れない人もいる。一方で、練習通りに走れる人だけが世界チャンピオンや金メダリストになれる。その力を発揮できるタイプだと思っています。

 岡田紗佳さんもそうでした。当初、岡田さんは「怖い、怖い」と言い続けていたんですけど、やはり何年か経って成長したので。岡田さんのように中田さんも成長していくだろうし。なにより最初に中田さんがトップを取る時に、僕は同卓者でいそうなんです。大体いろいろな人の劇的な最初のトップとか、最初の役満の場面は、僕が被害者になっている。なので、できればBEASTとあたりたくないですね。

-いきなり開幕戦で、ということも。

多井 僕が踏み台になりそうな気がしますよ。

-猿川選手は何が楽しみか。

多井 彼は最強戦の舞台で結果を残していて、直近で何回か負けたイメージもあるのでね。彼も大舞台に強いというか、肝が座っているというか、押すところは押すし、勝負師として良いものを持っている。楽しみであり、怖い存在ですね。何とか早いうちに対策をしないと。彼がMリーグで良いところを見せようとして、本来の自分を見失って欲しいな、と思いますね。中堅男性プロは、2人に1人は大体、そうやって負けていくので。

-昨期は悲願の優勝を果たした。その上で個人の目標は。

多井 自分の中での今期の目標は、来年も続けられるようにモチベーションを保つことです。

-チームの目標は。

多井 まずはセミファイナル進出が目標です、僕はこれについて何度も言っていますが、チームメイトは1人も欠けて欲しくない。その上で、僕がいるうちは絶対に抜けさせない自信がある。だから、まずはセミファイナルに残ることが仕事だと思っています。

 なので、時にはチームメイトにも厳しいことを言うし、勝った試合でも嫌なことを言って嫌われることもあるでしょう。けど、それが僕の仕事。どんなことがあっても、必ずチームを6位以内に乗せます。

-今年からレギュレーションが変わった。それについての印象は。

多井 優勝するためには1/8が1/9になったので、難しくはなりました。ファイナルに進むことも難しくなっていますが、チームメンバーを変更というレギュレーションは緩くなりましたよ。

 これを受けて、僕はもう少し、攻めっ気を出そうと思っています。いつもは一か八かの勝負はしません。そんなものに付き合わなくても自力で勝てるので。だから、よく「親の先制リーチは得だ」とか「何で配牌降りしてるの」などと言われますが、これは決勝に残るためにやっているだけ。もう少しトップ率を上げても、少しラス率が上がってしまっても、セミファイナルには残れると思う。なのでもう少し攻めるかもしれないです。

-それはリーグ全体の傾向になるか。

多井 リーグとしては変わらないでしょう。他のチームで、そこまで器用にできるところはないと思うので。

-ABEMASの戦い方として少し攻め寄りに。

多井 少し攻め寄りになりますね。うちは結構、バランスを取っているので。でも、これからは一か八かのリーチをするかもしれません。「今、追いかけられたらトップから落ちちゃう。ラスになっちゃうかもしれないけど、攻めてみよう」という選択は増えるかもしれません。

-新しいユニフォームの印象は。

多井 うち、チームカラーが茶色になったんですか(笑)?イメージカラーは黒だと思っていましたが、年々年々、黒の部分が減っていっている気がする。不満ではないですけど、イメージがどんどん変わっているな、と。

 でも、こういうのも監督が自ら構想してくれていて、スタッフの人が用意してくれているので、僕としては、このイメージに合うように髪型や体型を考えなければ、と思っていて。体はもう少し絞ろうかな。新しいユニフォームを着ると気が引き締まるというか、今年もやらなければ、という気持ちになります。

◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズンを戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。さらに上位4チームがファイナルシリーズに進み優勝を争う。優勝賞金は5000万円。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)

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Mリーグ 配信情報まとめ
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