真の「常勝軍団」となるために 松本吉弘「ファイナルを10年、20年続けたらとんでもない記録」/麻雀・Mリーグ
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 渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)は、ファイナルで+160.2ポイントと個人成績2位に輝き、見事チームを優勝に導く大活躍を見せた。「僕は承認欲求が強い」と語る松本。掲げた次なる目標は「対戦チームのサポーターが嫌になるような存在になる」ことだ。運も大きく影響する麻雀という競技で渋谷ABEMASが「常勝軍団」であることにもこだわっていく。

【映像】Mリーグ2023-24シーズン 開幕直前インタビュー

-初優勝から数カ月が経った。実感は。

 松本吉弘(以下、松本) 正直、何も変わりませんでしたが、「優勝おめでとう」と言われることで、実感が湧きました。もちろん決まった瞬間はうれしかったですが、優勝したから強くなったわけでもないし、その後は何も変わらずですね。次のシーズンが始まったら全員が挑戦者になると思うし。

-思いが爆発するようなことは特別なかった。

松本 悪い意味ではなく何かのタイトルを取った時は、いつも「実感が湧かない」という月並みな感想になってしまうんです。僕が發王位を取った時も翌朝にLINEなんかをもらって「優勝したんだ」と。Mリーグは4人でやっていて、監督もいて、ファンの方も応援してくれたので、気持ちが分散したというか。自分の力で全て勝ち取ったのではなく、チームのみんなで勝ち取ったから、実感も分散されているんじゃないかと思っています。

-ポストシーズンは白鳥選手と共に大活躍。チームをけん引する活躍を見せた。

松本 昨期は「ショウ・マツ」の連投シーンがたくさんありましたが、結果を出せたのは僕らの中でかなりうれしかったです。2人でこの話をしたこともありますし。1年目で多井さんがMVPを取った時、チームは3位に終わって、僕と翔ちゃんで「一緒に勝って優勝に導けたら最高だよね」と話をしていました。

 多井さんがシーズンの終盤に5連投して結果、チームが敗北した時もあったけれど、誤解を恐れずに言えば「5連勝して優勝しなくてよかった」と思ったんです。5連勝して優勝していたら恐らく「多井さんの優勝」だったと思う。僕らが何もしていないわけではないけど、無力に近かったんじゃいかと。

 そんな中で昨期は藍子ちゃんがレギュラーシーズンを引っ張って、セミファイナルでは翔ちゃんが爆発して、ファイナルでは僕と多井さんが勝った。本当に総力戦で優勝をかっさらったと思うので、そういう意味で最高の優勝だったんじゃないかなと。

-Mリーグには何組かのコンビがある。その中で“ショウ・マツ”とは。

松本 もう圧倒的に濃度が濃い関係ですね。麻雀プロの中で一番だと思います。友人の中でも一番濃い時間を過ごしているので。

 そういう意味でも、最初の優勝がコンビで活躍できたシーズンだったというのは自信にもなります。試合的な面で言うと野球のクローザーが繋いでいく勝利の方程式みたいに、「このコンビが出れば勝率はエグいんだ」みたいなものは見ている人もワクワクすると勝手に思っています。

 「今日はこの継投だ。黄金コンビだ」みたいな感じになると見ている方にも伝わりやすいのかなと。単純にコンビで仲良くしていくのも見ていて楽しいと思うし、2人の時間を長く過ごして、それがやっと結果に結び付いて本当に良かったです。

-振り返れば、ドラフトでの巡り合わせもあってチームメイトになった。こんな仲になるとは思っていたか。

松本 もともと仲が良かったですし。RTDリーグの時代から一緒にやってきたし、麻雀の話もずっとしていたし、何ならドラフトの前日も夜中まで電話していましたから。「明日、同じチームになったらいいね」みたいな。

 夢見る学生みたいな夜を過ごしていたら、渋谷ABEMASから指名を受けて「うわぁ!なっちゃった」と。例え別のチームだったとしても、同じ時間を一緒に過ごせた自信はありますが、ここまでにはならなかったですよね。出会ってから10年くらいになりますけど、本当に同じチームで麻雀ができて良かったです。翔ちゃんがいなかったら、自分もここまで強くなっていなかったと思います。

-チームとしては連覇が最大の目標になる。

松本 まずはジンクス的に優勝チームはレギュラーシーズンで敗北してしまうことになるんですけど、僕らは逆に言うとレギュラーシーズンを突破できなかったことは100%ないんです。そこも注目ポイントで「やっぱり優勝チームは駄目だった」と言われないためにも、真価が問われるシーズンになると思います。まずはレギュラーシーズンを突破して、ファイナルに進みたいですね。

 その上で「連覇」はもちろん狙いますが、「常勝軍団の渋谷ABEMAS」というイメージをファンに植え付けたいと思っているんです。麻雀というゲームの性質上「常勝」という言葉はほとんど使われないと思うんですけど、常に勝ち続けて、常にファイナルにいるチームでありたい。これを10年、20年続けたら、とんでもない記録だと思う。他のチームからすると脅威で、良い意味で対戦チームのサポーターから嫌がられる存在になりたい。少しヒール的な部分があるかもしれませんが、そういうチームに成長できたら選手冥利に尽きると思います。

-過去の優勝チームは翌年、不振に陥るジンクスが。松本選手が考える要因は。

松本 まずABEMASは総合力に優れていると思います。そんな中で、毎年ファイナルへの切符を掴んでいる。なので不振に陥るジンクスというものは、あまり意識していないんです。

 昨期のチャンピオンだからといって油断せず、できることをやり続けていきたいと思います。そういう意味では今までの5年間と何も変わらず過ごすことが、最後まで勝ち残る一番の秘訣だと思っています。

-トップを取った次の半荘でラスを引くような巡り合わせが起こるのが麻雀。そういう意味だと、優勝の次のシーズンにファイナルを逃すことも同じことだと。

松本 そういう感じです。でも「たまたま」とか「しょうがない」は麻雀において一番使われる言葉だと思いますが、僕の一番嫌いな言葉でもあるんです。負けた時は運のせいにしたくなるのが麻雀の性質だと思うんですけど、僕はそんなゲームにしたくない。たまたまを10回連続で引いたら、もうたまたまではないので。そんな風に、ABEMASはファイナルに残り続ける記録を永遠に続けていきたいと思っています。

 「いつ負けるの?」というのは注目の的になると思うんです。敵味方を問わず、そうなってもらえるような圧倒的なチームになりたい。「鬱陶しい」と感じる人もいるかもしれないし、「強いチームを応援しているのは最高だ」と思う人もいるかもしれません。とにかくそういうチームになりたいです。

-「優勝の喜びが分散した」と話していた。チームには優勝賞金5000万円が入ったが自分にご褒美は与えたか。

松本 お金を本当に使わなくて、何に使っていいのか全くわからないんです。「熱闘!Mリーグ」で「車を買う」と言っていましたが、結局、買わずに過ごしています。あ、でも腕時計を買いました。良いやつを1本。そういう意味では、少しご褒美を与えたのかな。でも、本当にお金を使わない貧乏性なんです。

-賞金ではなく、麻雀に勝ちたい欲が強い。

松本 僕は承認欲求の塊みたいな人なんですよ。麻雀プロは同じような人が多いと思います。勝つことでしか評価を得られない、数字の世界なので、みんな結果を出したいんですよね。

 それにこだわって勝ち続けてきましたが、その中でMリーグが自分自身に変化をもたらしたのは、負けた時に感動している試合があったりすること。めくり合いに負けてもすごく面白かったとか、128秒の大長考がすごくかっこよかったりとか、今までになかった感情をくれました。

 そういう意味でも、勝つことに加え、記憶に残る試合がしたいというモチベーションが、Mリーグが誕生して生まれました。「負けるなら超面白い試合で負けたい」みたいな。そういう欲も自分の中にあります。

-新加入のMリーガーで対戦したい選手は。

松本 これは多くの選手が楽しみにしていると思いますが、渡辺太さんですね。彼は僕の4つ上だと思いますが、プロとしては1年目で前評判がすごい。僕が知る上で堀さん、園田さんは自分に自信がある2人だと思いますが、あの2人が「天鳳ルールだと自分は勝てない」と言っていたくらいです。

 一方で、堀さん、園田さんを否定するわけではないですが、僕には麻雀が強い人はどのルールでも強いという持論があります。渡辺さんとは、1回だけネット麻雀で対戦したことがありますが、Mリーグという舞台で戦えるのが本当に楽しみです。

◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズンを戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。さらに上位4チームがファイナルシリーズに進み優勝を争う。優勝賞金は5000万円。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)

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Mリーグ 配信情報まとめ
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