日本の医療費が膨らみ続けている。昨年度、医療機関に支払われた医療費は46兆円でうち4割を75歳以上の高齢者が占める。
19日の『ABEMA Prime』では「高齢者医療費の削減をもっと本気で考えて!」などの声を受け、医師・医療ジャーナリストの森田洋之氏 とともに打開策を議論。同氏は「高齢者の病気は治らない前提で対処を」と提言し、アルツハイマー治療に期待される新薬についても言及した。
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森田氏は「アルツハイマーの治療薬としては先日、新しい“レカネマブ”が出た。いい薬かもしれない。ただ、20〜30年くらい前に“アリセプト”が出た時、初の認知症治療薬として期待されたが、大して効果がないだろうということでフランスではすでに保険適用から外されている 。高齢者がかかる病気は老化現象のひとつと考えると、ピシャッと治るような薬が出ることを期待し過ぎてはいけない」と疑問を投げかけた。
続けて「薬で病気が劇的に治ることはほぼない。骨粗しょう症の薬も、1万人に統計をとったら少し差は出るけれど、個人には感じられない程度のものだ」と述べた。
仮にアルツハイマー治療薬として期待されている新薬のレカネマブが保険適用になった場合、アメリカでの薬価が患者一人につき年約390万円かかる(日本での薬価は未定)とされる治療費の大半は、現役世代が負担することになる。
これに対してタレントのパックンは「若年アルツハイマーの時は薬を使っていいのか。どこで線引きするべきなのか」と質問。森田氏は「本当に希望すれば保険で払っていいと思う。ただ、医者が患者の希望を聞いていない。なかば機械的に薬を出している。本人が望んでいないのに入院している状況を半分くらい減らせるのであれば、それが若い世代の負担を減らす大きな財源にもなる」と答えた。
また、パックンの「制度的な変更は必要ない? 線引きをせずとも、本人の意思を尊重して在宅治療を優先しようというムーブメントを起こせば良いということか」との質問には「そうだ。そうすることで皆が死生観や自分が死ぬ時までにどう生きていくかをしっかり考えるようになる」と答えた。
森田氏は「特に今は新型コロナウイルス感染症で入院したら家族にも会えないなど生活のクオリティが著しく下がる。そうした点も含めて、動画でも何でもいいので本当に自分はどうしたいのかという意思表示があれば、治療方針の判断材料になる」と述べた。
当事者の意見はどうか? 高齢者の投薬について、自身も母親の介護をするお笑いタレントの山田邦子は「本人が『認知症を治したいからこの薬を使ってください』と言えなかったら、もう家族が考えるのはやめたらどうなのか」と提案。「介護をする家族はウチも含めて皆、そうした悩みを抱えている。でも、“もうしゃべれない”といったまさかの日は突然やってくる。私なんかあと17年で80歳。自分ごとだ」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)
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