同業の25歳前後の女性に突然LINEで尋ねられて高橋さん(46歳・男性)は焦った。助言を求められ、「その進め方でよいと思いますよ。」と答えただけなのだ。
実はこういったコミュニケーションの齟齬はさまざまな所で起きている。『ABEMAヒルズ』では私立学校教員の高橋さんに話を聞いた。
高橋さんは「助言を求められたので『その進め方でよいと思いますよ。』『問題ありません。』とLINEで伝えたところ、25歳ぐらいの女性から『怒っていますか?』『文末に【。】がついているので無表情に感じてしまいました』というような返信が来た。まさか『怒り』に捉えられるなんて、ただただ驚きでした」とやり取りを振り返った。
この“LINE句点問題”に対し、慶応大学特任准教授などを兼務するプロデューサー・若新雄純は「丸がついてると、緊張感が漂う。LINEなどのメッセンジャーアプリは僕らにとって日常の『補助』ツールではなく『メイン』のコミュニケーションツールになった。そのため、メッセージのやり取りに顔文字やスタンプを使うことはもはやマナーだ。社会人基礎で学んだ方がいいと思う」と考えを示した。
「以前からあるメールや手紙のやり取りでは顔文字のようなものを使う文化はなかった。なぜLINEでは必要なのか?」という問いに若新は「メールや手紙はあくまでも補助ツールだった」と説明した。
「メールや手紙は対面や電話で話した後の補助的なツールだ。例えば、メールはそれだけで完結するのではなく、『では後で資料をお送りしておきます』とか『今日の議事録はこうでした』などといったフォローとして使用されてきた。また、メールは約束を取り付ける際にも使用してきたが、その後ちゃんと会っていた」
そして、高橋さんに向けられた「無表情に感じた」というセリフについて若新は「僕らは対面でも電話でも表情や声色でちゃんと感情を伝え合っていた。もし無表情で『今日もありがとうございました』と言われたら、『嫌なこと言っちゃったかな?』とか『怒らせちゃったかな?』と心配になるものだ。僕らのコミュニケーションは言葉の意味だけでは成立しない。実は感情のやり取りが全てで、その感情を補完するために言葉があると言っても過言じゃないぐらいだ」と見方を示した。
さらに、普段のLINEなどのやり取りで気をつけていることを聞かれた若新は「急いでいて要件だけを伝えたい時は『メモ』『要件だけ』と断った上でその情報を送っている。対照的に要件だけをポンっと送られると戸惑うはずだ。だから『今はメモとして、補助的な連絡手段として使っている』と明示する必要がある」と答えた。
最後に若新は「メインのコミュニケーションの中には絶対に感情と表情の情報を入れるべき。だからこそLINEは表情豊かなキャラクターのスタンプとともに発展したのだ」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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