「解離性同一性障害(DID)」。虐待や性犯罪など、子どもの頃の苦痛やトラウマから逃れるために別の人格を作り出す、いわゆる多重人格だ。
「交代人格だけだと6人で、主人格の私を入れると7人」。フリーライターとして活動する碧月はるさんも、別人格が生まれたきっかけは幼少期の両親からの虐待だった。耐えようとする男性の人格が生まれ、つらい記憶を思い出して泣きじゃくる少女、それらを統率するしっかり者の女性など、6人の人格がいるという。
当事者の多くが感じているのは生きづらさだ。碧月さんは「(虐待の)フラッシュバック。疲れや緊張がずっと続いていて、それがふっと抜けた時、気絶して乖離したこともある。1時間で私に戻れる時もあれば、長いと1〜2日戻れない時もある」と話す。いつどこで人格が入れ替わるかわからず、けがをする危険も。そして、その間の記憶はないという。
別人格の時の情報をLINEにメモさせて引き継ぐなど、パートナーの協力もあり、なんとか生活できているということだ。ただ、「仕事に支障が出るのが不安材料。『これを今日中にやりたい』と思っていても、5歳の女の子に乖離している時にはできない。月30本書ける人と月15本しか書けない人だったら、どちらの生活が安定するかはわかりきっている。そこはしんどいというか、悔しさのほうが近いかもしれない」。
■70〜80人の人格、生放送中に“交代”も

