■70〜80人の人格、生放送中に“交代”も
生活への支障だけでなく、わかってもらえないという苦しみも。多重人格者としての日常をYouTubeで発信する篠原さん。現在、なんと70〜80人の人格がいるそうで、「一番古い人格だと2〜3歳の頃からいたらしいが、きっかけはわからない。特に虐待があったわけではないことは確認が取れている。小学校、中学校と学年が上がっていくにつれて受けたストレスなどによって、人格が増えていくというのを繰り返している」と話す。
篠原さんは人格同士でコミュニケーションが取れ、自分の意志で交代可能だという。「(部屋の中に)スポットと言われる直径2メートルくらいの枠がある。その表面に薄い膜みたいなのがあって、それ越しにタッチすると位置がクルッと変わる感じで交代できる」。そのため、「演技ではないか」「男人格だったら上半身裸になっても平気だろ」「化粧をしているはずがない」などの心ない声も。
『ABEMA Prime』生放送中のスタジオでも交代はできるのか。聞いてみると、「ちょっと時間かかるんですが、失礼します」と、それまで話していた男性人格の「秋人」さんがうつむいて約20秒後、「はじめまして」と現れたのは主人格の稚依子さん。「あっくん(秋人)からどうしても出たいという話があった。あっくん主体でいろいろやり取りなどをするならいいということで了承した」と出演の経緯を話す。
稚依子さんが好きな食べ物はおでんだが、秋人さんは焼肉とおいなり。嫌いな食べ物も人格が変われば食べられるそうで、「自分は苺のお菓子が食べられなくて、においから受け付けないが、他に苺牛乳が大好きな子がいる」という。
さらに、恋愛対象も変わるということだ。「トラブルはあまりない。彼氏のことをあっくんは家族だとは思っているけど、自分の恋人だとは思っていない感じだ。あっくんの恋愛対象は女性なので、彼氏を『恋愛対象としては見られない』と言う」。
篠原さんは治療も受けているが、「その中で、最終的に1人になることはあり得るだろうなと思う。ただ基本的には、誰が表に出ていても困らない生活を送れるように、ということを目標にしている」と話した。
ここで稚依子さんから秋人さんに交代。主に10人の人格が出てくる中で、「稚代子は主人格なのに出られないことが多いので、半分は出られるような環境を作っていきたい」との思いを持っているという。ただ、現状の周囲への対応としては、「必要があれば相手に説明するが、誰にでもしなくていいと思っている。俺(秋人)が主人格の稚代子のふりをしてつつがなく済むようなことだったら、DIDは演技しているのではないかとよく言われるが、主人格の演技をしてやり過ごす」と明かした。
では、周りの人にどのような向き合い方を望むか。「理解を得るのはすごく難しいことだと思っている。解離性同一障害は、解離性障害のくくりの中の疾患。倒れたり、身体が勝手に動いてしまったり、そっちの頻度のほうが多いのかなと思う。なので、DIDの前に解離性障害を知ってほしいという気持ちは強い。また、姿は同じだけど別の名前で呼んでくれというのは相手にとっては負担だと思うので、そこまで強要したくはない」と述べた。
■「人格によって事故や事件を起こすのは本当に不幸なこと」



