素敵な靴は、履き主を素敵な場所へ連れて行ってくれる――。若き絶対王者にとっては“スニーカー”がその相棒に挙げられるだろう。将棋の藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)が10月11日、第71期王座戦五番勝負で永瀬拓矢前王座(31)に勝利し、シリーズ3勝1敗でタイトルを奪取した。将棋界を飛び出し日本中に衝撃を与えた「八冠独占」の大偉業。前人未踏の地に立った藤井竜王・名人だが、足元のトレードマークとも言えるスニーカーは、どんなに険しい道でも着実に歩みを進めることができた必須アイテムだったのかもしれない。
藤井竜王・名人は、14歳2カ月の史上最年少でプロ入り。その若さだけでなく、デビュー戦を勝利で飾ると瞬く間に白星を集め、歴代1位となる29連勝を樹立し多くのファンの度肝を抜いた。将棋界における「最年少記録」は次々に“藤井聡太”の名前に塗り替えられるとともに、異次元のスピードでタイトルを奪取。その肩書は段位から冠名、さらには冠の数へと瞬く間に変貌を遂げていった。
しかし、いつの日も変わらなかったのは藤井竜王・名人の足元を支えた相棒の“スニーカー”だ。黒地に白色のラインが2本入ったシューズを記憶しているファンも多いだろう。タイトルを獲得し、押しも押されもせぬトッププレーヤーとなってもなお、スーツにスニーカーを合わせる“抜け感”スタイルは藤井竜王・名人ならではの着こなしだった。
本人に大きなこだわりはなく、「硬くて履きづらくて痛いので結局スニーカーを選んでしまう、また革靴が痛い、スニーカー…というサイクルになってしまって(笑)」と答えていたことも。もちろん時と所と場合によっては革靴を選ぶこともあるが、国内から海外対局と活躍の場をぐんぐん広げて過酷なスケジュールをこなすため、最善の選択がスニーカーとなったようだ。
今では、和服姿を目にする機会の方が多くなったと言っても過言ではない。スーツ時に愛用していた2本ラインのシューズは、黒色のレザースニーカーへと変化。スーツ姿の藤井竜王・名人を目にする機会も前夜祭やイベント時と限られることになったが、若き王者は自分が最もパフォーマンスを発揮することができるスタイルを十分に理解し確立している。八冠王となった藤井竜王・名人が、この先スニーカー、革靴、草履、例えどんな履物を選んだとしても、きっとその“相棒”は次なる目的地へ案内してくれることだろう。
(ABEMA/将棋チャンネルより)