幼い子どもを持つあるシングルマザーが発した苦悩の投稿に、多くの声が寄せられた。その声を受けて彼女はどのような決断を下したのだろうか。その思いを聞いた。
【映像】ももこさん「“横抱っこ”しながら夜な夜な勉強していた」
「先日受験した試験の合否通知」「本当は入学したい」
大学院・博士課程の入試の結果を伝える通知。そこには「合格」の2文字。投稿したのは、3人の子を持つシングルマザーで、日々の子育ての様子をSNSで発信している「ももこ」さん。約10年おきに男の子を3人出産し、20代の長男、中学1年生の次男、まだ2歳の三男がいる。
ももこさんは2021年、三男を出産後すぐに修士課程の入学試験に合格。大学院に進学した。
「10年前も本当は行く(進学する)きっかけがあったが、そのときはまだ上の子が小さいのを理由に諦めた。同じことを繰り返したくなかったので、出産後に修士課程の入試を受けた」(ももこさん、以下同)
悩み抜いた末、後悔したくないという思いから一度は諦めていた大学院進学を実現したももこさんだが、ワンオペ育児をしながら勉学に励むのは想像以上に大変だったと話す。
「“横抱っこ”しながら夜な夜な勉強していたこともあった。自分の学びのためにも行きたかった学会のときに子どもが発熱してしまい、土日だったので病児保育も利用できず、行けなかったことがあった」
困難の連続だったという「育児」と「学業」の両立。なんとか修士課程を修了し、博士課程への入学試験もクリアしたももこさん。しかし、進学は現実的に難しい…そんな状況で出た本音、「本当は入学したい」。
「修士の修了まで大変だったことを思い出し、入学してしまったらもっと指導教員の先生に迷惑をかけてしまうのではないかという思いが頭をよぎったので悩みました」
そんな中、この投稿に寄せられたのは1000件を超える励ましや応援のメッセージだった。
「子育てしながら勉強するのは大変だったでしょう、尊敬します!」「素晴らしい!ぜひ後悔しない道を進んでください」(SNSの声)
そんな声にも背中を押され、博士課程への進学を決意したももこさん。
「今週始めに期限ギリギリで入学手続きを無事終えました」(ももこさんの投稿)
将来は事業を立ち上げたいとのことで、その分野で必要なデータ分析ができる力を身に付けたいという。
「『子どもがまだ小さいから』を理由にしていると、いつまでたっても動けないと思う。10年前の私がそうだったので。でも、やっぱり自分の人生だし、子どもを理由にしてあきらめたらいけないと思った。入学を決めたらからには頑張りたい」
母親が進学することの難しさについて、ハフポスト日本版の前編集長で、米スタンフォード大の客員研修員も務めた竹下隆一郎氏に話を聞いた。
「この前発表された、ノーベル経済学賞に選ばれたクラウディア・ゴルディン教授の研究はまさにこういう領域で、経済が豊かになると女性の社会進出が進むと皆さん考えると思うが、実はそうではなかったと。なぜなら、女性には様々なブロックがある。例えば子育て。本来は男性もすべきだが、どうしても女性に負担がかかりキャリアがブロックされたといった研究がある。社会としてもっと支援が必要」
「大学にとっても、色々な経験を持つ人たちが学問に新しい風を吹かせると思うので、とてもいいことだと思う」
また、自己実現について、「これは『わがまま』ではない。『社会のため』とか『技術が役立ってほしい』ということももちろん大事。だが、色々な研究者をインタビューしていて、自分が『学びたい』『やりたい!』という気持ち、これが一番の真実だと思う」と話した。
(『ABEMAヒルズ』より)