「飼育欲」ってなんだ?━━子どもを狙う性犯罪者の“歪んだ心理”を専門家分析
【映像】「飼育欲」とは?

 塾講師による盗撮や教師による猥褻行為など、子どもへの性加害事件が相次いでいる。子どもを守るために何ができるのか? 加害者側の心理から考える。

【映像】「飼育欲」とは?

 子どもがターゲットとなる事件が相次ぐ中、性被害をどう防ぐべきか。

 長年、性犯罪加害者の治療プログラムに携わり、『「小児性愛」という病』(ブックマン社)の著者である大船榎本クリニック精神保健福祉部長の斉藤章佳氏は「加害者には『小児性愛障害』といわれる精神疾患が背景にあるケースが多い。また性暴力には、『加害者と被害者の間に圧倒的な権力関係(地位関係)』と『性加害をしやすい環境』がある」と説明する。

 学校や塾で圧倒的な地位関係がある教師から性暴力を受けても、子どもはそれを「性暴力」と認識しにくく、認識できたとしても周囲に打ち明けられないという状況に陥り孤立化しやすい。そんな弱い立場の子どもを相手に性加害を繰り返す加害者の背景には、代表的な3つの「認知の歪み」があると斉藤氏は話す。

■3つの「認知の歪み」とは?

 一つは「純愛幻想」。これは、子どもと自身が「成人同士の愛よりも崇高な純愛によって結ばれている」という幻想だ。

 二つ目は「飼育欲」。彼らは「子どもは何も知らないまっさらな存在。自分が教え、育てることで肉体的にも精神的にも成長させてあげる」と自らを正当化し、欲求を満たすために犯罪行為を繰り返すという。

 三つ目は「支配感情」。彼らは「子どもがかわいいからこうしたんだ」とか、「かわいいからついついさわってしまったんだ」とか、「かわいい」という言葉を枕詞につけるケースが多い。彼らが使うかわいいは一般的な意味と異なり「自分の存在を絶対に脅かさないという保証」が含まれている。

 加害者はこれら3つの「自身を正当化する認知の歪み」を持っているので、なかなか自分の問題性に気づけず、逮捕されるまで繰り返してしまう特徴があるという。

 また、こうした小児性愛障害者には小児期逆境体験といわれる親のアルコール依存や虐待、学校でのいじめ(性的なものも含む)などを経験してきたケースが多く見受けられるという。

■子どもを守るためにできること

 子どもを性犯罪から守るため、何ができるのか?

 斉藤氏は「前提として、被害にあった子どもは全く悪くないのでその点を明確にしておくことが重要。予防策としては、幼少期から包括的な性教育を行って、性暴力について正しい知識を学ぶこと。そして、プライベートゾーン、つまり触られてはいけない場所についてしっかりと子どもと確認し、共有事項を作っていくことが肝心だ」と強調した。

 そして、性犯罪歴がある人を仕事で子どもに関わらせないようにする日本版DBSについて斉藤氏は「子どもに関わる職種すべてを対象にしているイギリスと同じレベルにしていけるかがポイントになる。1日に接する時間の制限は1時間、さらに直接接する仕事、間接的にコンタクトをとれる職業区分についても直接・間接問わず対象にしていくべきだ」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)

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