■「疲弊した介護が当たり前になってる現状が問題」
年間700人以上から介護の相談を受ける、となりのかいご代表理事の川内潤氏は、石橋さんの介護について「日々の連続を“当たり前だ”と思っていらっしゃる。一番心配なのはお母さんではなく石橋さんだ」と投げかける。
「よく今日までやってこられたという気持ちだ。いち早く、ご自身の気持ちがつらくならないような、気持ちが少しでも軽くなるような状況に身を引いてほしい。大事なのは、経済的な算段をつける前にそれができるかどうか。制度を精査できないほど、今の毎日が繰り返されていることに問題があるわけだ。失礼な言い方かもしれないが、お母様のためにそうしてほしい。私が相談を受けていて、ケアマネージャーさんに自分のつらさや身の内を伝えられている人は意外と少ない」
また、「ご自身の親にいい気持ちが持てなくなっていたら、引かないといけないタイミングだ」とした上で、「経済的な部分で、特養は緊急の度合いによっては要介護3でなくても入居できる方法はあるし、当然お母さんの収入だけで入居できるように制度設計されている。今の状況をどれくらいケアマネージャーさんが認識されているのか?緊急の度合いと含めてもう一度伝えてみたらどうでしょうか。それでも動きが悪いようであれば、地域包括支援センターに相談いただくのがいいのではないか」と呼びかけた。
経済学者で慶應大学名誉教授の竹中平蔵氏は「介護はものすごくお金がかかる。ただ、全員が個人で準備できるわけではないので、“社会で面倒を見ましょう”と、生命保険みたいなものがある。しかし、いつの間にか在宅介護を、保険の財政と絡めて、政府が言い始めた。制度がものすごく後退しているので、これは若い人から声をあげたほうがいいと思う」と指摘。
現在の心境について、石橋さんは「自分の気持ちを一番大切にするべきだというのは、心療内科の先生にもよく言われる。ただ、“それってどういうことなの?”というレベルだ」と話す。ジャーナリストの堀潤氏は「プッシュ型の支援が拡充される必要がある。“石橋さん、行きましょう”“何もしなくてもいい。行きましょう”と言ってくれるような制度を作っていくべきだ」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)
この記事の画像一覧




