「性欲だけではない」「アルコール・薬物依存と比べても別格」━━小児性愛障害は治るのか?
【映像】小児性愛障害の治療法とは?

 塾講師による盗撮や教師による猥褻行為など、子どもへの性加害事件が相次いでいる。子どもを守るために何ができるのか? 『ABEMAヒルズ』では、加害者側の心理について明星大学教授で心理学者の藤井靖氏に聞いた。

【映像】小児性愛障害の治療法とは?

 仕事を通して、性被害の加害者とも関わるという藤井氏は「性加害というのは単純に性欲だけではなく、支配感情などといった心理的な歪みを満たすために行うことがある」と説明した。

 また、藤井氏は「性加害者には自分の行為を正当化する特異な考え方・捉え方があり、治療が難しい」と話す。

「再犯を予防するために特異な考えを修正していく必要があるが、『この考えを消し去ってください』というのは難しい。なぜなら自然と湧き上がってくるものだからだ。そのため、異なる考え方・捉え方もあるとカウンセリングで伝える、あるいは集団セラピーのような形で他者の意見も聞き、様々な見方を足していくことで特異な考えを薄めていく」

「抑えていても『ここぞ』という時に、自分の本能・強く思っていることが出てしまうのでは?」という問いには「だからこそ性犯罪歴がある人を仕事で子どもに関わらせないようにする日本版DBSが大事。そんな特性を持った人が物理的に子どもに接する機会を減らすことで、再び犯罪者にならないよう予防するのだ」と答えた。

 また、性被害の予防法について藤井氏は「家庭任せにせず、教育の中に組み込んで幼少期から教えることが大事だ。塾や学校で性被害を受けた時にそれが性被害だと気づけないことも多いが、学びによって何かあった時に『違う』と判断できるようになれば親に伝えるなど対策ができる」と解説した。

 さらに日本版DBS(案)の課題について藤井氏は「対象犯罪歴が『前科のみが対象』になっているがこの対象を広げるべきだ。なぜならアルコール・薬物依存と比べても性犯罪は再犯率・治療の難しさの面で別格だからだ。また、学校などの公的機関だけでなく、対象職種も広げる必要がある。また、DBSに入れるかは別として、犯罪を未然に防ぐには小児性愛の特性をもった人をスクリーニングしたり、自覚を促すことも重要だ。本人の自覚がないケースもあるからだ。裸体など性的刺激画像を使って、被験者の視線や陰茎の反応を数値化する客観的検査も開発されており、国際的なエビデンスもある。プライバシーにも配慮した第三者機関による検査なども有効だろう」との見方を示した。

「職業選択の自由」を妨げるのではとの危惧については「被虐待経験によって小児性愛の傾向が高まる人もいるが、それも含めて生来的なものと考えれば、自分ではコントロールできない。男女の差でできる・できないの仕事があるのと同じように“必要な区別”をするべきだ」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
 

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