絶対的エースのサヨナラ弾、ファンも歓喜に沸いた。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2023-24」10月27日の第1試合は渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)がトップ。試合後は勝ち星で先行する若手選手への牽制球も忘れなかった。
この試合は東家から多井、TEAM雷電・萩原聖人(連盟)、U-NEXT Pirates・鈴木優(最高位戦)、赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(最高位戦)の並びで開始。東1局、親の多井は7巡目にタンヤオ・平和・ドラ2の親満貫をテンパイすると、ひっそりダマテン。しかしこの選択が裏目に出て、鈴木優の軽いアガリにかわされてしまう。仕掛けていた萩原の現物待ちという理由も含む決断だったものの「“戦闘民族”の捕まえ方を間違えた」と痛恨の結果となった。
それでも安定感の鬼、多井は崩れない。東4局は仕掛けて3900点のアガリ。3着目で迎えた南3局は、789の三色同順を狙っていたところで九万がポンされてしまい、即座に方向転換。マンズを払い、南と中のシャンポン待ちでリーチを敢行した。親の鈴木優から中が打たれ「ロン!」。リーチ・中・ドラ・裏ドラの8000点でトップ目たろうに迫る。
オーラスは中盤にタンヤオで仕掛けて三・六万待ちのテンパイ。ライバルのたろうも同じ三・六万待ちだ。山にはほとんど残っていなかったこの待ちを、多井が六万でツモアガリ。たろうを抜き去り今期初トップだ。レジェンド解説の土田浩翔(最高位戦)を「うわあ、強ええなあ!」と驚かせる勝負強さを見せた。トップ目前で敗れたたろうはガッカリ。
4戦して2着4回。ポイントを稼ぎながらも、どこか勝ち切れない印象もあった今期ここまでの多井。会心の逆転弾に試合後のインタビューではニッコニコだ。「うっし!」と拳を握りしめてガッツポーズ。舞台袖のたろうへ目をやりながら「強い人に勝ちました!」。たろうを目覚めさせないことがこの試合のテーマだったと語り「ずっと大人しくしてもらおうと思って、東発(東1局)僕、大人しくしすぎて、終わってしまいました」と、リーチせずの判断に反省の弁も。
これで5連続連対。個人成績で首位を快走するKONAMI麻雀格闘倶楽部・伊達朱里紗(連盟)の名前を挙げ「伊達さんがすごいことになっているから『僕もいるよ?』というのを教えておかないと」としっかり自己主張も。「結構、自分の中では『(良い麻雀を)打てているな』という感覚もある」と好調をアピール。頼もしいエースの言葉にファンからは「隆晴おめー!!ありがとう!」「たかちゃんおめでとうー!」「やっぱ最強」と次々にエールが寄せられた。
チャンス手を逃しても、その後に崩れることなくしっかり試合を組み立てた。接戦のオーラスも手際よくアガリを決めてうれしい初トップ。多井の試合巧者ぶりと、渇望した勝利への喜びようが際立った試合だった。
【第1試合結果】
1着 渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)3万2600点/+52.6
2着 赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(最高位戦)3万1100点/+11.1
3着 TEAM雷電・萩原聖人(連盟)2万200点/▲19.8
4着 U-NEXT Pirates・鈴木優(最高位戦)1万6100点/▲43.9
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズン各96試合(全216試合)を戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。各チーム20試合(全30試合)を戦い、さらに上位4チームがファイナルシリーズ(16試合)に進み優勝を争う。優勝賞金は5000万円。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)