座っている時間が世界一長いといわれている日本人。技術の進歩やテレワークの導入などにより、座っている時間がさらに増加傾向にあるという。座りすぎが影響を及ぼす健康問題について専門家に聞く。
早稲田大学スポーツ科学学術院の岡浩一朗教授は、日本人の“座りすぎ問題”をこう指摘する。
「特に座り過ぎが増えると、太りやすくなる、血糖値が高くなる、あるいは血圧が高くなるということはよく指摘されている」(岡氏、以下同)
座りっぱなしの健康被害と言えば肩こりや腰痛などが思い浮かぶが、座りすぎと血糖値の上昇などにはどのようなつながりがあるのか。
「太ももの前の筋肉は体の一番大きな筋肉だ。そこが全く動かなと糖の代謝に関わるような機能が非常に悪くなるなど、脂肪を分解する酵素の働きが悪くなると言われている」
長時間座っていると筋肉の代謝や血行が低下し、健康に害を及ぼす危険があるという。しかし、悪影響はそれだけではない。
「最近では不安、抑うつなどのメンタルヘルスへの悪影響や、さらには脳血流量も低下するといったこともあり、認知機能の低下や認知の発達まで、座り過ぎが関与しているといった研究成果もある」
なんと、心身ともに影響が出てくるという。では、座っている時間と健康はどう関係するのだろうか。
「ひとつの指標として亡くなるリスクがあるとすると、座っている時間が8時間を超えてくると、少ない人に比べて死亡のリスクが高くなると多くの研究成果からわかっている。そういった意味からも、だいたい8時間くらいが目安になると思う」
岡教授によると、日本人の座っている時間は8~9時間ほどだという。つまり、多くの人に危険が迫っていることになる。しかし、座ることが多くなっている現代社会では、個人が対策するだけでなく、企業が従業員へ働きかけることも重要だ。
「ヘルシーな働き方をできるように色々な組織、環境、個人のレベルで働きかけていくことが大事。例えば、立っても座っても仕事ができるようなコーナーを作って同じ姿勢をずっと続けないことが健康にとってもいいし、30分に一度ぐらいブレイクするといったことが重要だ」
職場内で立って仕事をしたり、自由にリフレッシュしたりできる環境を作っていくことが大事だという。
「何か特別な必勝法があるわけではないので、とにかく日頃から気をつける。当然私たちも、もっと積極的に体を動かすことを常に奨励してきたが、なかなかそれができる人がいない。あらゆる世代の健康課題なのかなと思っている」
(『ABEMAヒルズ』より)
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