進化を続けている「ChatGPT」。テキストによるチャットから、画像のアップロードが可能になり、10月にはテキストの入力だけで画像が生成できる「DALL・E3」が実装され、話題となった。
利便性から利用者も着実に増えているが、浮上している問題が運用コストだ。海外メディアによると、ChatGPTの高い機能を維持するために高価なサーバーを利用しているが、その運用コストは1日約1億円に上るという話も。さらに、生成AIの開発や活用には莫大な電力が必要となり、脱炭素社会の中、今後、電力確保が課題になるとの分析もある。
便利になる一方で、課題もあるChatGPT。『ABEMA Prime』では、生成AIの未来について考えた。
■「電力の消費がものすごく増えているのは事実」
そもそもデータセンターについて、ハイレゾ代表の志倉喜幸氏は「大量のパソコンを置いて、皆さんが見ているウェブサイトやサービスを維持するようなセンターがある。一方で我々は、生成系AIなどに使われる計算専用のサーバーをまとめたデータセンターを運用している。計算用サーバーは止まってしまっても、ウェブサーバーより比較的問題はない」と説明。
ChatGPTを運営するOpenAIが2024年末までに破産するのではないかという記事や、ここ30年の間に1万4000倍の電力を消費することになるという予想もある。
「2つのコスト要素がある。まずはサーバー自体で、1台5000~6000万円する時代になっている。そして、通常のウェブサーバーの10~20倍電力を使うような、電力の消費自体ものすごく増えているのも事実だ。我々が実際に最新のものを見ると、1つ、2つ前と比較して5~10倍ぐらい消費量が増えている」
ハイレゾは2024年6月、佐賀県・玄海町の廃校の校舎にデータセンターの開設を予定している。「やはり電気代にフォーカスした。玄海町は原発立地地域で、その分他に比べて安い。ランニングコストで一番大きいのが電気代なので、一番有利な土地として選んだ」と明かす。
ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は、データセンターの設置場所について、「海外なら土地が安かったり、電気代がタダの国も結構あったりする」としつつ、「さくらインターネットが石狩にデータセンターを作っているが、気温が低いから冷房をそんなに入れなくていい。実は冷房代をめちゃくちゃ食うので、アイスランドにサーバーを置いている会社もある」と指摘。
この冷却問題について志倉氏は「クラウド化が進んでいたり、我々のような計算サーバーに特化したデータセンターになってくると、従来のクーラーではなく、水冷がメジャーになってきている。そういう新たな冷却方式をこれから考えていかなくてはいけない」とした。
■ひろゆき氏「AIサーバーに文句を言うぐらいだったら、ビットコインをなんとかしろ」
データセンターの運用をめぐり、志倉氏は「計算サーバーと、データ保管サーバーは切り離して考えるべき。計算サーバーはデータを保管しないので、A地点がダメになってもB地点が動けばよく、分散するのが好ましい。データ保管サーバーは、AとBの両地点でデータを保管しておかなければいけない」と述べる。
AIはドローンや自動運転などあらゆる場所に使われる未来も想定される中で、そういったリスクはないのか。ひろゆき氏は「テスラの自動運転レベルになると、自動車自体に判断させる機能を持たせて、クラウドに繋がらなくなっても問題がないようにしている。ただ、ChatGPT4みたいな人間より賢いレベルのものを動かそうとする場合、きちんとセンターにデータを送って返さないといけないと思う。世界中の人が使い続けているから大量の電力を使い続けているけど、一方で10分止まったからと言って誰かが死ぬようなものではない」との見方を示した。
安全保障上の問題も含め、日本にデータセンターを置くべきなのか、その場所は足りているのか。志倉氏は「足りなくなってきている印象は受ける。ただ計算サーバーも海外でやればいいかと言うとそうではなく、もはや電気やガス、水道といったインフラに近い。それらが諸外国に握られてしまうのは安保の問題もあるし、AIが医療分野などに使われることを見据えた時、その国がシャットアウトして使えなくなってしまうことは避けないといけないので、自国でしっかり処理するべき部分はある」と警鐘を鳴らした。
そんな中、ひろゆき氏は「AIで世界中のものが便利になっているなら、その計算資源の電力をどんどん使うべきだと思う」との持論を展開した。
「ビットコインという本当に役に立たないものにものすごい電力が使われていて、マレーシアが使う電力量と同じくらいとも言われている。AIサーバーに文句を言うぐらいだったら、そっちをなんとかしろよと思う」
(『ABEMA Prime』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側