太っ腹すぎる!━━出社するだけで2000円 導入した会社はどうなった?
【映像】なぜ出社するだけで2000円もらえるのか?
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 新型コロナの収束後も、すでに日常となりつつあるリモートワーク。社員の出社を促すため、「出社手当」の支給をはじめた企業がある。手当による効果や出社することのメリットなど、取り組みの背景を担当者に聞いた。

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 「出社すれば2000円を支給する」という太っ腹な手当を始めたのが、システム開発などを手掛ける企業、アジャイルウェアだ。コロナ禍以降はフルリモートワークを実施していたが、9月からは週2回の出社を推奨することにした。

 過去にも、コロナ禍での「リアルイベント協力ありがとう手当」や、社内サークル活動費を補助する「ギルド手当」などおもしろい制度を実施している。今回の「出社手当」について担当者に話を聞いた。

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「オフィスに4時間以上滞在すれば、上限10日の制限はあるが、1日2000円を支給する手当になる」(人事・加藤愛さん、以下同)

 出勤して4時間以上社内で働けば、月額最大2万円が給与に上乗せされるという。手当を支払ってまで社員の出社を促す理由は何なのだろうか。

「コロナ禍でリモートワークが始まった後、社員のコミュニケーション不足が会社として問題になった。社員同士の交流が少なくなったり、極端な例だと自宅でのリモートワークによって『1日誰ともしゃべらない』ことも…。その結果メンタル不調を起こしやすくなる。逆に顔を合わせていれば『ちょっと元気がないな』『最近どうしたの?』といった会話が生まれてお互いフォローすることもできる」

 オンラインでは気付けない、同僚のちょっとした体調の変化や悩みも、顔を合わせることで社員同士による細やかなケアができると考えたのだ。出社手当の開始から2カ月、出勤率は以前より上がっているという。

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「出社手当を始める以前は、出社してもだいたいオフィスに2~3人しかいなかったが、手当開始後は10人前後に。さらに、コミュニケーションも増え、楽しそうな笑い声や会話が聞こえてくるようになった」

 営業担当の松野凌さんも「『髪切ったね』『洋服、新しいね』『今日寒いね』など、ちょっとしたコミュニケーションが増えた」と話す。

 さらに、社員同士の会話を増やすべく「ランチ手当」も開始された。

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「業務以外のコミュニケーション、さらに部署をまたいだところでの会話というのもして欲しいという思いから、出社時に誰かとご飯に行けば500円を支給している」

 こちらも上限は月10日で、社員の誰かと一緒にランチをすれば、月額最大5000円が支給される。雑談することが目的なので、お一人様ランチでは適用されない。

「自分のチーム以外と会話をするのはランチなどの時間しかないかなと思うので、そこでまた新たなコミュニケーションが生まれて、いい方向に行っているなと感じている」

 出勤すれば食べ放題のおやつも支給され、これも社員同士の会話のきっかけになっている。コミュニケーション促進のための手当は今後も作り続けていくそうだ。

「今考えているのは『懇親会補助制度』のようなもので、3名以上の社員が集まった飲み会は『会社から5000円までを出しますよ』という仕組みを考えていたり、社員旅行みたいなものも始めたいと話している」

 アジャイルウェアでは、こうした手当を導入したことで、出社率が3.3%から16.7%と約5倍に増えたという。これらの取り組みについて、株式会社SchooのCCO・滝川麻衣子氏に話を聞いた。

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━━各種手当の導入についてどう思う?

「リモートワークは通勤がなくなることで、体力的な負担が少なく時間効率も良くなるという大きなメリットがある。しかし、孤独を感じやすく、メンタル不調になる人が出てしまうというデメリットも存在する。また、偶然の出会いや雑談から新たなビジネスが生まれるといったことは、予定外のミーティングを行わないリモートワークでは難しい。その点を考慮すると、このような工夫をすることは理解できる」(滝川氏、以下同)

━━リモートワークを好む人のほうが増えている?

「様々なアンケートが取られているが、出社を義務付けられた会社から転職を考えた人がいるという話もある。特に、小さな子どもを育てていたり、介護している人にとってはリモートワークほどありがたいものはない」

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━━アジャイルウェアでは、楽しく働ける環境を整えることで業績を上げる「ウェルビーイング経営」を目指しているという。業績アップに効果はある?

「間違いなく効果はある。業績を上げることができている組織は、働いている人が生き生きとしていて、エネルギーがあり、会社に対してもポジティブな気持ちを持っている。社員の状態が良くなると組織の状態も良くなり、業績も上がる。逆に、社員の状態が悪いと組織の状態も下がり、業績が悪化する」

━━出社回帰の流れがあるが、この先はどのような働き方が求められる?

「各国で傾向が分かれている。アメリカでは最近、AmazonやGoogleなど大きなテック企業が出社義務化を進めている。一方、ヨーロッパは労働者の権利が強い国が多く、オランダやドイツではまだ多くの人がリモートワークを続けている。そんな中、日本では7割が出社義務化に戻っている」

「しかし、日本は圧倒的に人手不足の国であることを忘れてはいけない。そのため、働き手が働きやすい環境を整えることは、企業にとって採用競争力にもなり、いい人材を集められる切り札になる。働き方の選択肢を増やしていくことは、経営戦略として間違いないと思う」

(『ABEMAヒルズ』より)

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本記事は自動文字起こしツールや生成AIを利用していますが、編集部の確認を経て公開しています。

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