将棋の藤井聡太JT杯覇者(竜王、名人、王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)が11月19日、日本シリーズJTプロ公式戦の決勝戦で糸谷哲郎八段(35)を破り、2年連続の優勝を飾った。この結果、一般棋戦優勝数を「10回」の大台に乗せた。
八冠保持者の藤井JT杯覇者が、大会連覇を達成した。5年連続5回目の出場となった今期は、前年覇者として参戦。1回戦では、今期叡王戦五番勝負を戦った菅井竜也八段(31)、準決勝では八冠をかけた王座戦五番勝負で激闘を繰り広げた永瀬拓矢九段(31)と強敵を破り、決勝の舞台へと戻ってきた。本局では、3年連続6回目の出場で初の決勝進出となった糸谷八段と激突。振り駒の結果、藤井JT杯覇者の先手となると、角換わりの出だしとなった。
棋界屈指の早見え早指しとして知られる糸谷八段は、準決勝でも採用した右玉を選択。互いに速いスピードで進行すると、藤井JT杯覇者から仕掛けて本格的な戦いが始まった。積極的な指し回しで藤井JT杯覇者がペースを握ると、糸谷八段は変幻自在な対応で自陣を補強。中盤戦では濃密な駆け引きが繰り広げられ、互いに譲らぬ大熱戦となった。
しかし、終盤戦では糸谷八段の猛攻に対し、藤井JT杯覇者が切れ味鋭い一手を繰り出し、優勢へ。圧巻の勝負術で流れを引き戻すと、糸谷八段の粘りを押し切って藤井JT杯覇者が勝利を飾った。
勝利した藤井JT杯覇者は、一局を振り返って「こちらがどう打開していくかが難しい将棋で、実戦は右側から仕掛けていったが、うまく切り返されて飛車を捌かれてしまったあたりは苦しいかなと思っていた。その後、受けに回って反撃に出て、竜を取ったあたりでまた勝負できる形になったかなと感じた」とコメント。また、「優勝という結果を嬉しく思っています。まら来期も熱戦を演じられるように頑張っていきたい」と連覇の喜びを語った。
一方、初優勝を逃した糸谷八段は「作戦から難しい中盤戦になり、竜を作ったあたりは良い勝負にできたと思ったが、その後が守勢に過ぎた。受けている間にだんだんとまずい将棋にしてしまったような気がするので、そこでの判断を誤ったのかなと思う」と話した。
この結果、藤井JT杯覇者の一般棋戦優勝回数は10回に。8タイトル独占に続き、一般棋戦の2年連続制覇にも期待が寄せられている絶対王者の今後の躍進にも注目せずにはいられない。
◆藤井 聡太(ふじい・そうた) 2002年7月19日、愛知県瀬戸市出身。中学2年生時の2016年10月に史上最年少で四段昇段、史上5人目の中学生棋士となる。2020年度の第91期棋聖戦でタイトル初挑戦。渡辺明棋聖(当時)を破り、17歳11カ月で最年少タイトルホルダーとなった。以降獲得と防衛を重ねて、竜王3期、名人1期、王位4期、叡王3期、王座1期、棋王1期、王将2期、棋聖4期の通算19期。2023年度は第81期名人位の獲得により、20歳10カ月で最年少名人と史上2人目の七冠獲得を同時達成。さらに初挑戦した第71期王座戦五番勝負を制し、前人未踏の「八冠独占」を達成した。また、本大会の連覇により棋戦優勝は10回となった。通算成績は348勝68敗、勝率は.837。趣味は鉄道、チェス。
(ABEMA/将棋チャンネルより)