「私が正しい道に導いてあげなくちゃ!」…自覚なき“正義中毒”は止められる? 精神科医と考える被害者にも加害者にもならない方法
【映像】4割が「SNSで誹謗中傷をした経験あり」という衝撃データ
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「誹謗中傷」と聞くと「マナーの悪い一部の人の話」と考えがちだが、けっして他人事ではない。気がついたら被害者、そして加害者になる可能性があるのだ。

【映像】4割が「SNSで誹謗中傷をした経験あり」という衝撃データ

 Job総研の調査によると、誹謗中傷について「とても気をつけている」「気をつけている」「どちらかといえば気をつけている」と答えた方が76.5%であった一方、SNSで誹謗中傷をした経験について「ある派」が40.6%となった(ライボ Job総研調べ「2023年誹謗中傷の意識調査」)。背景には憂さ晴らしや匿名性による罪悪感の希薄さなどがあるという。

「私が正しい道に導いてあげなくちゃ!」…自覚なき“正義中毒”は止められる? 精神科医と考える被害者にも加害者にもならない方法
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 この調査結果を受け、精神科医の木村好珠氏は「誹謗中傷をする人は大きく2つのパターンに分けられる」と説明。

「1つ目は仕事などで生じた日頃のストレスをしがらみのないSNSで一方的にぶつけているケース。もう1つは『正義中毒』だ。後者は自分の正義を振りかざす行為だが、『君、正しいよ』とSNSで同調されると『私は正しいことをしているんだ』というようにただの誹謗中傷が『私が正しい道に導いてあげなくちゃ!』という“正義”にチェンジしてしまう。この背景には満たされない承認欲求と匿名性がある」

 さらに木村氏は「メンタルケアやカウンセリングをしていると『最近、こんなニュースがあったから私は注意してあげたし、これからも続けていく』と力強く語る人と向き合うことがある。抑鬱症状に苦しんでいる人の気分が上向きになったり行動力をもてたことは肯定すべき点だが、少し間違えてしまうと“正義中毒”で人を傷つけてしまう」と警鐘を鳴らした。

 自分は正義だと思い込んでいる“正義中毒”の人の止める方法はあるのか?

 木村氏は「周りが『それを言って傷つく存在がいること』を教えてあげるのが1つの解決策だ。もう一つはイライラをSNSにぶつけても身の回りの問題は何も解決しないと本人に理解させること。3つ目は、身の回りの友人や家族、そしてカウンセリングなどで話を聞いてあげること。今はオンラインのカウンセリングもあり、気分が落ち込んだ時に限らず『頭を整理したい』というタイミングで利用することも効果的だ」と説明した。

 とはいえ、「これらの方法を駆使しても自分が正義だと心から思い込んでいる人を動かすことは非常に難しい」と木村氏が指摘するように、前出の調査において「誹謗中傷の制御は匿名では困難か」という問いに「困難だと思う」という回答は75.3%に上った。

 このような“攻撃を受けやすい世の中”において自身を守ためにはどうすればいいのか?

 木村氏は「様々な意見に触れることができるという点においてSNSは有益だが、自分の身を守るために、特に精神的に弱っている時は『SNSを見ない』という方法が有効だ。それでも見てしまって傷ついてしまったら、誹謗中傷してきた相手が『顔も見たことがない知らない人』だということを意識してほしい。その上で自分の身の回りに目を向けて、大切に思ってくれている人の言葉に耳を傾け、感謝の気持ちを持つことに意識を向けてほしい」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)

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