■トイレ掃除は学校教育に必要なのか?

生徒による清掃活動の効果に疑問を持つ、教育研究家でライフ&ワーク代表理事の妹尾昌俊氏は「子どもが掃除するのは日本では当たり前だが、海外では必ずしもそうではなく、児童労働が指摘されるケースや清掃員の仕事を奪っているという意見の人もいる。例えば、県庁や市役所の職員は掃除をしないが、学校だけが教育目的のためと子どもに掃除をさせているわけだ。昭和から掃除用具が変わっていないが、掃除機やロボット掃除機を使えばいい。結局予算をかけていないだけという見解もある」と説明。
さらに、「“教育的に意義がある“”子どものためになる“と言うと、なんでもそうなる場合がある」とし、「子どもの時間も有限な中で、毎日やる必要があるのか。基本は清掃員にやってもらい、自分の周りだけ片付ける。時には道徳の時間で掃除を行う体験があってもいいのでは」とやり方を変えていく必要があるとの考えを示した。

これに高野氏は「いろんな意見があるのは当然だと思う。私も最初にトイレ掃除を素手で行ったときは、正直あり得ないと思っていた。私は子どもたちに『掃除』という言葉を使わず、『きれいを広げる』と伝えている。学校での掃除は、終わった後に先生が見回りをして確認をするが、まだやっていないところに目が行きがちだ。しかし、『きれいを広げる』の実践であれば、生徒たちは『僕はここをきれいにした』『私はここをきれいにした』と言え、それを教師は褒めることができる。生徒も嬉しいという、Win-Winの関係になる」と返す。
続けて「褒められる=認められるということ。今の社会、教育の中で、認められることはほとんどない。勉強は苦手な子が多く、足が遅い子が速くなるのは難しいが、掃除は誰にでもできる」と主張した。
■「学校の当たり前が変わるか、今年と来年が勝負」
