「現金を封筒に入れて」「教員が回収役に」…なぜ給食費は“昭和的”なのか? 「一律無償化」と共に考えるアップデート
【映像】「払いたくない」という親から回収する苦労とは?
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 自治体独自で小中学校の給食費を無償化する動きが広がる中、東京23区内だけでも既に無償化を実施している区としていない区があるなど、“自治体格差”が生まれている実情がある。

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 家族の経済学に詳しい東京大学 経済学部 山口慎太郎教授は「すべての子どもたちが必要とする給食こそ、親の経済面などに左右されることなく国が一律で無償化を実施すべき」と提案する。

 さらに山口教授は国が給食費の一律無償化を担うメリットについて「自治体による“子育て世代に人気はあるが効果がない政策”や自治体間の行き過ぎた競争の防止」や「教員が親から給食費を回収する労力のカット」などがあると説明。

 一方で、内閣府が6月に公表した「こども未来戦略方針」には「学校給食の実態調査を速やかに行う」と明記されている。いまだに国は一律無償化実施に動けていないのが現状だ。

「現金を封筒に入れて」「教員が回収役に」…なぜ給食費は“昭和的”なのか? 「一律無償化」と共に考えるアップデート
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 これに対し山口教授は岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」の中で注目を浴びている「児童手当の拡充」の半分以下の予算で給食費無償化は実現可能であると指摘。「出生数ばかりに目を向けるのではなく、『すでに生まれてきた子どもたち』により良い環境を用意することも社会にとって重要なのではないか」と述べた。

「給食費無償化の受益者は実は親ではなく子どもだ。子どもが将来立派な大人に育ってくれれば、それは社会にとっても大きな利益になる。 税金でカバーすることに全く問題はない」

■給食費のキャッシュレス化は実現可能?

 この給食費の一律無償化について教育経済学を専門とする慶應義塾大学の中室牧子教授は「子どもに投資をすることで将来社会に還元されるという『教育の投資的な側面』は大事だ」としつつ、「一方で千葉商科大学の小林航教授が指摘している『税金で給食を負担するということは、『子どもがいる高所得の親』の給食費を『子どもがいない低所得の人』の税金で賄うということになり社会の格差を広げる』という観点もある。この不公平感を国民がどう考えるか、ちゃんと議論すべきだ」と述べた。

 さらに中室教授は34.8%しか進んでいない給食費の「公会計化」について「『私会計』になっている自治体では、封筒に現金を入れて先生に給食費を渡す必要があるところも。これは保護者の側も不便であり、徴収しなければいけない教員側にとっても大きな負担になっている」と山口教授の指摘に同意した。

 なぜ、給食費などをはじめとした公金納付のデジタル化は進まないのだろうか?

 中室教授は「官公庁側の言い分は『システムを変えるにはコストがかかる。費用対効果が悪い』というもの。だが、給食費は毎年払い続けるものであり、さらに、保育所の延長料金や入試の検定料・入学金もキャッシュレス化できていない。出張や入院などで現金が用意できないケースもある。現代の暮らしに合わせたやり方に変えていくべきだ」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)

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