「えっ何?」「超カウンターだ」猛攻を仕掛ける選手が突如、崩れ落ちる“一見しただけでは”何が起こったかわからない…下がりながら左を打ち抜くカウンターでの衝撃ダウンが発生。しかし、このダウンをきっかけに、その衝撃を上回る大逆転KO決着に発展。倒されたら、倒し返す。1ラウンド2分で複数ダウンが飛び交う壮絶な打撃戦。倒れた相手への追撃のヒザと、荒ぶりが止まらない選手に体を張って割って入ったレフェリーが、選手を放り投げるように制止するひと幕があった。
12月9日にタイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE Fight Night17」。セーマペッチ・フェアテックス(タイ)とモハメド・ユネス・ラバー(アルジェリア)の試合は、1ラウンドで互いにダウンを奪い合う展開。打ち合いで“倒し倒され”が魅力のタイの英雄セーマピッチだが、緊急参戦となったアルジェリアの新鋭の前に、痛恨の逆転KO負けを喫した。
打ち合い上等のファイトスタイルで、ONEのオープンフィンガー・ムエタイをリードしてきたセーマペッチ。今回の対戦相手は、当初の選手の欠場により急遽ONEデビューが決まったラバー、188センチの長身の持ち主だ。
試合はセーマペッチの“瞬き厳禁”の一撃から幕を開けた。試合開始からぐいぐい攻めるラバー。一気にパンチの連打で前に出ると、セーマペッチは下がりながら相手のアゴ目掛けてピンポイントでカウンターを当て最初のダウンを奪う。
攻めていた選手が突然落ちるシーンにファンも「???」「えっ何?」「超カウンターだ」と騒然。しかし、この試合の驚きはここで終わらなかった。
立ち上がったラバーは、試合再会後1発目の右のフルスイングひと振りで、“ズドン”とダウンを奪い返す。
開始2分で早くも2つのダウンの乱打戦に「すごい試合だ」「やり返した」「OFGは怖いな…」といった反応のなか、セーマピッチも鋭いパンチで反撃するが、ラバーの飛びヒザ、ヒジ、さらにはMMAのような拳の裏での打撃と猛ラッシュ。
ラバーの一気呵成の猛攻を受け、コーナーポストを背に腰から崩れたセーマペッチ。そこにラバーはダメ押しの顔面へのヒザ蹴り。静観していたレフェリーも「これ以上は危ない」と体をねじ込み、攻撃が止まらないラバーを抱え込むように制止すると、無理やり放り投げるように引き剥がして試合を止めた。
一方、大ダメージのセーマピッチだが、本能で立ち上がる足元はグラグラ、それでも戦う意志を見せる。レフェリーは選手を抱えながら諭すように「よくやった、終わり!」と試合終了のゴングを要求した。