東京・歌舞伎町では深夜に「トー横キッズ」と呼ばれる家出した若者らが集まり、事件に巻き込まれることなどが問題になっている。
12月に警視庁が行った一斉補導では小学6年生の女子児童から19歳までの29人が補導され、中には広島や岡山、京都、石川から来た少女もいたという。
また、市販薬を過剰摂取するオーバードーズのために、咳止め薬数十錠を所持した少年少女も複数人補導されている。
この問題について、精神科医として多感な子どもたちと向き合う機会が多い木村好珠氏は「補導することが目的になってはいけない」と警鐘を鳴らす。
「人は『承認欲求』より前段階の欲求として『集団に所属したい。安心感したい』という『所属の欲求』を持っている。子どもたちは最初は家族、その次に学校に所属するが、必ずしも機能するとは限らず、自分の居場所としてトー横に辿り着いてしまう子たちが多いのではないか。そのため、『ただ補導するだけ』では結局SNSで探してまた集まってしまう」
一方で木村氏は「トー横に集まるような子たちの家庭を居心地の良い環境に変えることは困難」だと話す。
「両親が家事や仕事で多忙だったり、経済面などに問題を抱えているケースも多い。そんな両親に『ちゃんと子どもたちに向き合ってください』と伝えたところで解決は難しい。また、学校で全てを賄うことも難しい状況にある」
だが、警察にできることは補導までだ。そこから先はどういった支援が求められるのだろうか?
木村氏は「東京だけの問題ではない。各地域が『子どもたちをどのように育てていくか』を考え、児童相談所・福祉の現場・児童精神科医などと共に取り組み、“第3の居場所”を作る必要がある。とはいえ、一朝一夕でできることではない」と述べた。
最後に、多感な時期の子どもたちと接する上での注意点について木村氏は「子どもたちは全ての大人が嫌いなわけではない。だが、話を聞いてくれなかったり、最初から決めつけられたりした経験から、違和感を持っているだけだ。非行に走りそうな子どもに対しても上から押し付けるのではなく、時間をかけて正面から向き合ってくれる大人がいるだけで状況は好転する。そのためには1対1で話し合える空間作りも必要だ。ひとたび心を開いた瞬間、パッと話してくれる子どもは少なくない」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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