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【映像】怖いほどよく分かる!「中学受験で離婚するメカニズム」(図解)
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 “中受離婚”という言葉をご存知だろうか。子どもの中学受験をきっかけに家族関係が悪化し、離婚する夫婦もいるという。『ABEMAヒルズ』ではこの“中受離婚”について、明星大学心理学部教授で臨床心理士の藤井靖氏と、徳永有美アナウンサーと共にその背景を考えた。

【映像】怖いほどよく分かる!「中学受験で離婚するメカニズム」(図解)

藤井:僕は長く教育業界にいる身として、「受験をそんなに真剣に考えなくても…」という思いはある。

徳永:子どものためにと始めた受験が家族を瓦解させることもある?

藤井:カウンセリングをしていて、中学受験をきっかけに離婚する人は紙一重だろうとは思う。ある種、親が取り憑かれたようになってしまい、本来の目的を見失いながら前に進んでしまうことが、それなりに多くある気がする。

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 中学受験が原因で離婚してしまう背景を藤井氏が心理分析した。

【家族構造の変化と複雑化】

藤井:臨床心理学の中に“家族システム論”という考え方があり、家族は1対1の二者関係ではなく、グループで構成されている。そのなかでどこかに歪みが起きると単純に1対1の話し合いだけでは解決しないというもの。夫婦の場合は並列的関係で原因と結果がはっきりしがちだが、そこに子どもが入ると3人で三角形のようになる。一方、親子関係は垂直的関係と言われていて、並列的関係と垂直的関係の利害がぶつかることがある。

例えば大人でもそうだ。AさんBさんCさんの3人がいて、みんなが良くない状況になった場合、AさんとBさんの問題が解決すれば、じゃあCさんとの問題も解決するかというと違う。なので、夫婦で話し合っても「あの子はこう思ってる」「でもあの子はこっちに向いている」といった話になると例えそれぞれが子どもと関係を築けていたとしても解決が難しくなる。これは家族ならではの複雑さだ。

【コペアレンティング(夫婦協同育児)の難しさ】

藤井:2人の親がいる場合、2人で同時に子どもを育てるということが、実は簡単なようで難しい。特に、女性は生物学的に、子どもが生まれる前後で“妻として、女性として、社会人として”というよりは、やはり“母として”の心理状態が強くなる傾向にあると言われている。

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男性の場合は逆に、子どもが生まれる前後は“父親として”というよりは、社会的に自分が自己発揮して稼いで、ちゃんと子育てできる環境を作らなければいけないという発想になる傾向があると言われている。

そうすると、幼少期はそれで良いとしても、時間が経って中学受験となったときに、父親が急に口を出し始める。『お前の子育ては違う』『言い方が違う』など母親に言い始める。すると母親側は『今まで何も言ってなかったのになんで急に言い始めるの?』という心境になる。長く続けてきたことが否定された気持ちになるインパクトは大きく、そこで違和感が生まれ、深刻なギャップになるケースは少なくない。

徳永:母親は“線”で子どもと接し、父親は“点”で接している場合、線で捉えている母親の強い言葉が父親は気になるのか。普段の生活や教育のなかで思うところが、この中学受験になるとコントラストが強くなるんだろうと思う。

【どちらかの親の狂気】

藤井:あえて狂気と表現したが、カウンセリングで話していても、ある種の自己洗脳状態というか、受験に取り憑かれて依存状態に近いような感じに見受けられる人がいる。その場合は何を話しても、「でも受験って大事じゃないですか!」「子どもの将来のために絶対必要ですよね!」「とにかく受からなきゃいけないんです!」という感じで冷静さを失っている。しかもそのことに、自分では全く気づいていない。

かつ、人生の一番大事なものは何なのか、価値みたいなものをやっぱり見失ってる状態だと思う。それは色々話を聞いていくと、本来の「子どもに何かやってあげたい」という思いとは別に親の側にコンプレックスや“親自身の内にある未解決の何か”があるケースも少なくない。

徳永:自分たちのエゴでこういう状況を作ってるかもしれない、ということに親自身が気づけたら、狂気じみたものから解放される?

藤井:そこはなかなか難しい。そういう自分でも気づいていないような内なる感情、心理にはやはり向き合いたくないし、専門家とのカウセリングでも、他者から言われても「そんなことはない」と当然言いたくなると思う。冷静に自分と向き合うのは、結果はどうあれ受験が終わってからじゃないと難しいかもしれない。あるいは、子どもが受験戦争を進めていく中で病んでしまうことで、はっと気づく親も中にはいるが、なかなか難しい。

徳永:頑張っている子どもが、親からの心ない言葉で傷ついてしまう。その心のケアはどう考えたらいい?

藤井:とても難しい。しかし、私たちの一つの方向性としては、年齢相応ではないかもしれないが、親からの精神的自立を進めていくしかないと思う。親の発言の意図や心理を翻訳しつつ、親や自分のことを客観的に見ていく作業が、子どもの心を守るために必要な要素の一つ。本当はもう少し発達した後の作業なので、中学受験ごろの年齢でやらないといけないというのは心苦しい。

徳永:加熱してる親に一言伝えるとしたら?

藤井:ふと気づいたときに、「私たち家族で一番大事なものってなんだっけ?」という話を、ぜひ夫婦でしてほしい。私は“受験で人生が左右される”は壮大な幻想だと思っている。

(『ABEMAヒルズ』より)

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