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【映像】「時間空間を超えた医療」とコメント 市のコロナ相談で「ホメオパシー」 
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 大阪・泉大津市が実施している新型コロナ後遺症のオンライン相談事業。担当する医師の一部が「ホメオパシー」という代替療法をアピールしていることが、SNS上などで波紋を呼んでいる。

【映像】「時間空間を超えた医療」とコメント 市のコロナ相談で「ホメオパシー」 

「市民が気の毒」「どんな基準でこの医師団に」

「本当に素晴らしい」「全国に広めたい」

 1年以上前からSNSなどで賛否の声が上がっているのが、大阪・泉大津市が実施する新型コロナ後遺症やワクチン接種後の副反応に関する事業だ。オンライン相談を担当する医師は、市のサイトでこのように話している。

「ホメオパシー医療を取り入れ、カルマ、トラウマ、過去生、未来生に関わるすべての時間・空間を超えた医療をコンセプトに行っている」

 市のページによると、この事業は「西洋医学だけではなく代替医療、伝統医学等を含めた統合的アプローチ」を目的としていて、南出賢一市長の肝いりだという。

「泉大津では、独自の無料オンライン相談をやっています。こちらにお医者さんは9名ぐらい入っていただいていまして、オンラインで適切なアドバイスをもらえたり、オンライン診療に切り替えてくださる先生もおられる」(南出市長のYouTube)

 この事業の相談を担当する2人の医師が取り入れているという「ホメオパシー」とはどのようなものなのか。関連団体によると「症状を起こすものを、非常に薄めて投与すれば症状だけを治す」という考えのもと「植物や鉱物、昆虫などを極度に薄めた水を砂糖玉にしみこませて摂取し、自己治癒力を高める」とある。

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 これに対し、日本学術会議は2010年「科学の無視だ。すべての関係者はホメオパシーのような非科学を排除して正しい科学を広める役割を果たさなくてはならない」として、極度に薄めた水は『ただの水』であり、『水が、かつて物質が存在したという記憶を持っている』という説明は荒唐無稽だという声明を発表。日本医師会なども根拠を否定している。

 泉大津市によると、2021年にこの事業を開始し、今年度は民間への委託事業として実施。予算は約570万円とのこと。オンライン相談の医師の選定について、市は番組の取材に対して「『代替療法 』『伝統医学』など、現代の西洋医療だけではない健康増進のための幅広い知識と専門性を有する医師を選定した」と回答。ホメオパシーをどう考えているかについては「健康不安を持つ方に対して不安の軽減や解消を図るために業務委託仕様書に基づき実施している。お問い合わせの内容は業務委託仕様書では示していない」としている。

 ホメオパシーなどの様々な代替療法については、厚労省が「eJIM」というサイトでエビデンス(根拠)に基づいた情報を紹介している。その運営責任者でもある島根大学の大野智教授によると、ホメオパシーは趣味などで行うことまで止められてはいないものの、医療として行うことは否定的にとらえられているという。

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「科学的裏付けのない情報を公的機関が発信することは、市民や患者、その家族にまで誤解を招きかねないリスクが大きくなってしまうのではないかと危惧している」

 また、市ではオンライン相談などの先に後遺症改善プログラムを用意していて、プログラムのHPには、整体やヨガのほか「高濃度水素吸入」「フットバスで重金属排出」「カラダに流れている生体微弱電流の調整を行うマッサージ」なども実施しているとの記載もあった。

 大野教授はこうした代替療法に関して、実施することで体に害がないかという「健康被害」、金銭的な負担である「経済被害」、病院で適切な医療を受ける機会を失う「機会損失」の3つの観点に注意して判断することが必要だという。

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「補完代替療法・統合医療にも、西洋医学では補いきれないような患者の悩みや症状を改善できる、裏付けされたものもあるのは事実。ただ、公的な行政機関から“効果が不確かなもの”を、情報発信のみならず施術そのものも提供することになると、一定の責任を伴ってくる。

 3つの観点から言えば、『健康被害』が起きた時はどうするのか。『経済被害』としては納税者に対してどういう説明責任を果たすのか。『機会損失』としては、本当にその後遺症に悩んでいるのか、別の病気で悩んでいる可能性はないのかというところを、西洋医学の目線で見極められているのか。見極められていないのであれば、不必要なことをやっている可能性や、適切な治療を行っていればその悩みはもうすでに解消していたかもしれないという機会損失の可能性は否定できないと思う」

 後遺症改善プログラムの予算は約1118万円で、オンライン相談事業と合わせると約1687万円となる。明確なエビデンスが確認できていない医療類似行為に予算をつけることに問題はないのか、市に聞いた。

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「現在、後遺症に有効な治療法が確立されていないこともあり、症状の緩和・改善につなげQOLの向上を図ることを目的に事業を実施している。参加者からは『呼吸が楽になった』『リラックスできた』『頭がすっきりした』『倦怠感がなくなった』『首の痛みが軽減した』『全身がすっきりした』などの感想をいただいている」

 自治体の予算の使い方について、行政法に詳しい近畿大学の村中准教授はこう話す。

「科学的根拠のない治療行為・医療行為のようなものに公金を用いるのは“グレー”な気がする。予算の支出自体が違法とまではいえないが、健康被害が発生した場合、その損害に行政がどこまで責任を持って対応・救済するのかについては懸念が残る」

 今回のコロナ関連事業では市が公募型で業者を選んでいるが、市民が直接決定に関与できるわけではない。村中准教授は「必要なのは議会の存在だ」と訴えた。

「議会にはチェック機能がある。そのチェック機能を十分に果たせるような仕事をしてくれる議員を市民が選んでおくことが重要だ。それが自分たちの意見を反映した政策の実現にもつながっていく」

(『ABEMAヒルズ』より)

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