日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」で、出場する棋士を発表する監督会議が1月6日に放送された。チーム北海道・東北(北海道・青森・秋田・岩手・山形・宮城・福島)の監督を務める屋敷伸之九段(51)は、タイトル経験者から編入試験でプロ入りを果たした苦労人まで、バラエティに富んだ4人を出場登録した。「北海道・東北はすごく将棋が盛んなところ。地域をさらに盛り上げたい」と、地元の寒さを吹き飛ばすような熱い思いを持って大会へ向かう。
将棋会館のある東京、大阪のイメージが強い将棋界だが、棋士になるべく研鑽を積む場所として存在するのが研修会だ。現在全国に6カ所あるが関東、関西、東海、九州に続いて5カ所目として生まれたのが北海道、そして最も新しい6カ所目が東北だ。屋敷九段も「北海道・東北はすごく将棋が盛んなところ」というように、新たな天才棋士が生まれる土壌が、確実にできている。
藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)の大活躍により愛知、さらには中部地域が急激に盛り上がりを見せたことから、将棋の力によって地域を盛り上げようという機運は高まっている。日本将棋連盟の会長に就任した羽生善治九段(53)も就任早々に目標の一つとして地域活性化をあげた。そのタイミングで行われる地域対抗戦。頂点に立てば、地道に進めてきた育成も急激に加速することすら夢ではない。
出場登録棋士にはタイトル2期の広瀬章人九段(36)を筆頭に、野月浩貴八段(50)、戸辺誠七段(37)、小山怜央四段(30)が選ばれた。振り飛車党の戸辺七段は、ガンガンと攻める「戸辺攻め」を武器にフィッシャールールで大活躍。また小山四段は昨年2月に編入試験を経てプロ入りを果たした。棋士たちからすれば対戦経験が少なく、超早指しで未知の相手と戦うのは難しいもの。展開次第ではラッキーボーイになるチャンスもある。
1道6県と広いエリアから多くの声援が集まれば、監督を含めた5人の棋士のテンションはどんどん上がる。見事、頂点に立って凱旋することになれば、ファンの熱気だけで雪も氷も溶けていく。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)