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【映像】「真面目男」「名刑事」「カメレオン」3候補のあだ名の理由
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 台湾の次のリーダーが決まる総統選の投開票まであと2日。中国からの圧力も見え隠れする中、三つ巴の争いは佳境を迎えている。

【映像】「真面目男」「名刑事」「カメレオン」3候補のあだ名の理由

 13日の投開票に向け、ラストスパートの台湾総統選挙。各党が総力を挙げた選挙戦を展開する中、焦点となっているのが、緊張状態が続く中国との関係だ。

 与党・民進党の候補は蔡英文総統の後継として公認候補に選出された、頼清徳氏。外国メディアに向けた会見では、「台湾が民主主義を選択することを示す選挙だ」と英語であいさつした。

 最大野党・国民党からは、中国政府との対話の再開や経済政策の刷新などを訴える侯友宜氏。「当選すれば連立政権を組む」と発言しており、分散する野党票を取り込み、政権を取り戻したい考えだ。

 そして第三勢力の第二野党・民衆党は前台北市長の柯文哲氏。悪化する中国との関係については、経済や文化の交流を優先し対話を続けていく考えを示している。

 各党の“中国との向き合い方”が注目される総統選で懸念されているのが、中国政府による総統選への介入だ。

 民進党の頼氏は、中国政府が軍事的な威嚇やフェイクニュースを利用して選挙に介入していると警戒感を示している。

 事前の世論調査では、中国と距離を置くなど現政権の路線の継承を訴える与党がややリードしているが、野党は経済の停滞や政権の長期化による腐敗などを強調し政権交代を訴えている。

 3候補はそれぞれどのような人物なのか? ニューズウィーク日本版編集長の長岡義博氏は以下のように紹介した。

 与党・民主党の頼清徳氏(64):キーワードは「真面目男」。台湾・台北市生まれで、生後間もなく石炭鉱夫だった父が事故死。母子家庭で台湾大学医学部を卒業。2020年副総統に。中国からは「独立派」と見られている。

 国民党の侯友宜氏(66):キーワードは「名刑事」。台湾・嘉義県生まれ。父は台湾籍の日本兵。警察官としてマフィア摘発のほか数々の難事件を担当。国民党「本土派」の一員。国民党は共産党との戦いに負けて台湾にやってきた政党だが、民主党よりも中国に対して融和姿勢。

 民衆党の柯文哲氏(64):キーワードは「カメレオン」。台湾・新竹市生まれ。台湾の臓器移植のパイオニアでコスプレイヤー。2014年民進党の支持を受け、台北市長選に当選。市長就任後は「台湾独立」を封印。中国との友好を全面に打ち出す。こういった路線変更を受けて、カメレオン。2019年に民衆党結成。

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 最新の支持率では、与党・民主党の頼氏が39.6%で支持率が1番高く、続いて侯氏28.5%、柯氏18.9%と続く。

 選挙の行方について長岡氏は「頼氏が大きなミスをする、あるいは侯氏に何かすごいプラス要素が出るといったことがない限り逆転はないだろう」と分析。

 また、頼氏が当選した場合の対中政策については「おそらく頼氏は当選後今までの独立的な主張をさらに封印し、中国に妥協するような政策を打ち出してくると思われる。なぜなら、台湾経済にとって中国はとても大きな存在であり、それは野党候補の支持率にもあらわれているからだ」と推測した。

 中国はこの総統選をどのように見ているのだろうか?

 長岡氏は「中国は野党を一本化できなかったことに対し地団駄を踏んでおり、フェイクニュースを流したり、SNSで工作を試みているが、台湾の人々のメディアリテラシーは日本人より高いこともあり、有効打になっていない」と述べた。

 今後、台湾有事が起こる可能性について長岡氏は「台湾側が刺激しない限り、中国の事情で起きるだろう。そして“事情”として考えられるのが中国経済だ。経済が悪化、景気が低迷して、高まった国民の不安をガス抜きするために台湾の武力統一へと舵を切る可能性がある」と分析した。
(『ABEMAヒルズ』より)

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