【写真・画像】母が“極端なオーガニック生活”ハマる親に苦悩する子ども「お菓子を買ってと言うと怒鳴られた」「身体に良いと信じていた」当事者の本音と実態 1枚目
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 世にあふれる科学的証明が十分じゃない通説。何かにハマり信じるのは悪いことではないが、もし自分の親だったら…。

母親が自己流の“オーガニック“にハマっていた30代後半の田中さん(仮名)。小学生の頃、友人の誕生日会でケーキやジュースをごちそうになると「息子になんて物を食べさせるんだ!」とクレームの電話を入れたこともあったという。

 一方、20代後半のけとさん(仮名)は「親が薬を使うと体に悪いと思い込み、重症になるまで病院に行けない、病院でもらった薬も取り上げられた。自分のことを考えて言ってくれた面もあるので親は憎みきれない…複雑な気持ちだ」と話す。

 マルチ商法や陰謀論、自己啓発セミナーなどにハマる親が原因で苦しい思いをする子どもたちは多い。そうした親とどう向き合えばいいのか。『ABEMA Prime』では、当事者が抱える苦悩と実態に迫った。

転機は就職 ハマる親の子が抱える苦悩とは

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 冒頭で触れた田中さんは「菓子やジュースは禁止」という厳しいルールのもと幼少期を過ごした。「加工食品や色鮮やかな漬物などもダメだと教えられ育った。“お菓子を買って”と言うと大声で怒鳴られた。それをスーパーでやるものだから恥ずかしさや恐怖を覚えた。友人との付き合いが少なくなり、孤立感や良くない感情をずっと抱いていた」と当時を振り返る。

 それでも小学生の頃は極端なオーガニック生活に違和感を覚えず、「親が作る食事は身体に良いと信じていた。ただ、母は怒りっぽいところがあり、こと食事に関しては特にうるさかった」と話す。中高生になると周囲との違いに気づくようになったものの、極端な食生活は変わらず。

 しかし、社会人として働き始めた頃、「オーガニック食材は高価だったので代替のものを食べ始めた。美味しかったし、体調も崩さなかったので“全く問題ないじゃないか”と実感した」ことで変化が訪れた。

「母と同居する限りは極端さに気づかなかったろうなと今振り返っても思う」と語る田中さんだが、実は子どもの頃こっそりファーストフードを食べていたという。「禁止されているものを食べるので罪悪感があった。友人と食べる時も最低限のメニューだけを頼み、自宅では食べていないかのように振る舞った」と明かす。

30代後半になって相談に来るケースが多い

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 親子関係のカウンセリングに携わり、毒親問題にも詳しい、エムズルーム代表の三浦くみ子氏は「彼は早いほう。こだわりを強制され、30代後半になってから“家を出たい”と相談に来るものの、親に“私を捨てて行くのね”と言われ、罪の意識を持っている方が多い」と、田中さんの経験談を踏まえて説明した。

 食事に厳しい親の場合、否定するとご飯をもらえず、暴力を振るわれるケースもあるが、「親が良かれと思ってやっていることなので、恐怖はなく抵抗する気も起きていないケースが多い。“自分が悪いことをしたから親は暴力を振るわざるを得なかった”“だから自分が言うことを聞くべき”となっていくので、親から引き離すのは難しい。最終的には逃げるしかない。物理的な距離を離し、連絡方法を絞り込む以外に方法がない」と、実態を明かす。

“極端なオーガニック生活”にハマる背景は

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 議論を踏まえ、作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「今は反抗期がない時代になってきて、核家族化も極限まで進行している。だから閉鎖空間の中で同調圧力が生まれる。“このように標準的に生活していれば豊かで幸せになれる”という昭和の物語がなくなり、反原発・反ワクチン・反医学・偽医学など怪しい言説へのタッチポイントが至るところに存在する。子どもの問題だけでなく、これらにハマらない社会をどう作るかも重要だ」と指摘。

 これに三浦氏は「何にハマっても自己責任だが、親と子の境界線がない人がいま本当に増えていることが問題。子どもは自分と異なるという意識が全くない方は、自分も同じように育てられていたケースが多い」と言及した。

 田中さんは自身の経験を振り返り「今は友人との食事も楽しんでいて、うまく脱却できた。親の愛情表現が世間一般と少し違っただけだろうと自分の中で折り合いもつけられている。あとはもう自分の人生を歩んでいこうと思っている」と語った。

(『ABEMA Prime』より)

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