政治資金問題をめぐり安倍派幹部の処分について、自民党内からも「離党すべき」との声が上がる中、26日の幹部会合でも結論は出なかった。
【映像】西田准教授「中間取りまとめの実効性は大変薄い」
茂木幹事長は「自発的に政治責任をとるように」と発言し、党として正式に「離党勧告」などの厳しい処分も浮上しているという。
そんな中、安倍派幹部の塩谷座長・高木前国対委員長が「離党や議員辞職の考えはない」と発言。これに対し、東京工業大学の西田亮介准教授は「深刻な問題にもかかわらず結論が早すぎる。全容が明らかになってない段階で『離党も議員辞職もしない』では国民は納得できない」と述べた。
さらに西田准教授は「安倍派幹部たちは早い段階で『最大派閥であった自分たちに離党勧告なんてできないだろう』『権力争いは避けるだろう』と考えていたようだ。だが今回はコロナ禍の緊急事態宣言発令中に銀座のクラブを訪れて離党勧告を受けた議員の問題と異なり、党の存続がかかった問題で、そう簡単にすませるべきではない」と説明した。
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受け、25日には政治刷新本部の中間取りまとめが正式に発表された。その中で「国民の多くがイメージするいわゆる『派閥』すなわち『お金や人事のための集団』とみられても致し方ない状況が継続。派閥から脱却し本来の政策集団に生まれ変わらなければならない」としている。
さらにお金と人事からの完全な決別の具体策として「政治資金パーティーの禁止」「『もち代』『氷代』(派閥を通じて議員に配る活動費)の廃止」「人事について派閥の推薦禁止」「政策集団等で政治資金規正法などの違反があれば休止または解散」などが挙げられている。
この中間取りまとめについて西田准教授は「実効性は大変薄い」「規制強化に大変消極的という印象を受けた」と指摘。
「自民党は30年前にも政治と金の問題を機に政治改革大綱を党議決定しており、その中に『派閥は前近代的集団である』とまで言い切り、脱派閥に向けて歩みを進めていくこと、政治資金の透明化を掲げている。にもかかわらず結局具体化できておらず、派閥も政策研究会に姿を変えて復活してきている。これまで守れてこなかったにもかかわらず、自民党が自分たちで定めたルールをなぜ今回はきちんと守ることができると信頼できるのか」
ルールの実行力を強めるためにはどうすればいいのだろうか?
西田准教授は「会計責任者だけではなく議員の監督責任や罰則を強化することが重要だ。加えて、寄付・献金の金額、公開の金額を下げることも効果的だろう。当たり前のことだが、自分たちで守れないのであれば罰則や規制を強化する仕組みを導入する必要がある」と述べた。
また、相次いだ「派閥の解散」について西田准教授は「派閥は総務省に届け出を出しているが本当にこれを取り下げるのか、派閥の事務所・職員・銀行口座を解消するのかをメディアは確認する必要がある。一方で総務省への届け出を取り下げるとなると政治資金規正法が定めている現在の水準での透明化が行われなくなり、かえって政治と金の流れが不透明になってしまう恐れがある。そうなると、そもそも政治と金の問題や透明化と派閥の解散は直接解決に結びつかないという点も大変重要だ」と指摘した。
(『ABEMAヒルズ』より)
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