あの名調子が帰ってきた!日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」予選Bリーグ2位決定1回戦、関東B 対 関西Bが2月24日に放送された。フルセットにもつれ込んだ熱戦を大判解説で伝えたのは、YouTuberとしても活躍する藤森哲也五段(36)。これまでも解説で、将棋界では耳慣れない言い回しでファンを楽しませてきたが、今回も動き回る玉に対して「コモリ引っ越しセンターです」と伝え、笑いの渦を起こした。
藤森五段は、自身のYouTubeチャンネルで将棋に関する様々な動画を投稿。フィッシャールールで行われているABEMAトーナメントでは、毎年ドラフト会議のMCを務める一方、エントリートーナメントを勝ち抜いて本戦出場を果たしたこともある。また解説を務めると、独特なワードセンスで将棋の楽しさをいろいろな角度から伝える能力の持ち主だ。今回の試合で藤森五段の口と舌が機敏に反応したのは第8局。関東B・伊藤匠七段(21)と関西B・古森悠太五段(28)の戦いだ。
伊藤七段の先手番から始まった将棋は、角交換型振り飛車に。伊藤七段は居飛車で穴熊、古森五段は三間飛車で指し進めた。角交換の直後に再び両者が角を打ち合ってまた交換。そうこうするうちに、古森五段は飛車と角が初期の位置からちょうど入れ替わったような形になり、棋士からは「全然見たことがない将棋」という言葉も見られた。
古森五段は自玉を右に寄せて、戦いが起こるだろう2筋から離れて守りを固めていたが、局が進むに連れて、伊藤七段の飛車が2筋から7筋へと大きく転回されることが予想されてきた。すると古森七段は7二の地点まで進めていた玉を、2手かけて5二まで戻した。この動きを見た藤森五段から出てきたのが「最近の将棋っぽいですね。コモリ引っ越しセンターです」だ。これまでの将棋といえば、まずは玉を前線から離して囲い、そこからいざ戦闘開始というものだったが、最近では戦いながら玉も積極的に動かすという柔軟な対応が求められている。それだけ的確な状況判断も求められるだけに、棋士にとっても力量が必要だ。
その後、藤森五段は3筋周辺に固まった古森五段の駒に対して「飛車、角、金、銀、銀、桂、あの団体さんはどうなっているんですかね」とも表現。久しぶりに出まくった“藤森節”にファンからも「表現がオモロイ」「引っ越しセンターw」と笑いを含んだコメントが多く書き込まれていた。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)