【写真・画像】政治家の常套句“記憶にない”は本当? 舛添元知事「“記憶にない”と発言した記憶がなかった」元官僚「忘れたと言えば事実を認めたことになる」 実態と答弁で使う真意 1枚目
【映像】元親分のウラ話 議員秘書が覆面で暴露
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 日本の政治を揺るがす大問題となっている裏金疑惑。政治家たちに厳しい視線が注がれる中、世耕弘成参院議員は「秘書が私に報告しないまま」と述べ、西村康稔衆院議員は「秘書にはノルマ分を売ればいいと伝えていたので」と説明するなど、議員秘書が“言い訳”に使われている。

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 議員秘書はスケジュール管理から、支援者の対応、法案づくりの資料集め、各省庁とのやりとりまで行う、政治家には欠かせない存在だ。しかし、その過酷さから多くの人が辞めていくという。国会議員秘書の人材紹介を行う「議員秘書ドットコム」代表で元議員秘書の鈴鹿久美子氏は「体を壊すか心を壊すかのどちらかと言われている」と語る。また、いつ解雇されるかわからない恐怖心もあるそうで「『15分後に出て行け』と言われたら荷物をまとないといけない」という。

 果たして、どんな思いで政治家の秘書を務めているのか。抱える問題とその解決法について、『ABEMA Prime』で経験者とともに考えた。

■「国会議員は富士山。その周りのゴミを拾うのが秘書だ」

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 国会議員の秘書には3種類あり、公設秘書(2人)と政策担当秘書(1人)の給与は国から、私設秘書(人数制限なし)の給与は議員事務所から支払われる。鈴鹿氏は「公設秘書と私設秘書は誰でもなれるが、政策秘書は資格がないとなれない。ただ、違いはそれぐらいで、“洗濯から政策まで”と私は言うが、議員宿舎の洗濯からゴミ出し、鍋パーティーのネギの買い出し、政策、委員会質問と何でもやる」と説明。

 秘書の立場は政治家に大きく左右されるという。「議員が選挙で落ちたら自動的に何もなくなり、給料も出なくなる。選挙の時はボランティアで給料が出ない。勝ってもまた採用して“もらえるかもしれない”という話だ」。自身のかつての働き方は「“プラチナブラック”だ」と表現する。

 時には、新人議員につくこともある。「議員会館が何かもわからない人もいる。ただ有権者に選ばれた存在であることは間違いがないので、尊重しなくてはいけない。1日に何回も“この野郎”と思うことはあるが、その向こうにいる有権者のために仕事をするんだと言い聞かせて頑張るのが秘書だ」との考えを述べた。

 さらに、心構えについて「最初に政策秘書の男性から言われたのは、『国会議員は富士山。地域ごとに富士山があって、どれも日本一。でも、遠くから見るから綺麗なんだ。近くに行ったらゴミだらけ。お前はそのゴミ拾いだ』と。また、『秘書の秘は“秘密の秘”だからな』とも言われた」と明かした。

■政治家と地元有権者の板挟みになることも…

 専門商社でサラリーマンを経験した後、27歳から豊田真由子氏など3人の衆議院議員の秘書を務めた経験を持つ佐藤悠平氏。秘書になったきっかけについて「政治に全くゆかりはなかった。地元の池袋で飲んでいるときに仲良くなった人の紹介から、最終的に政治関係者と繋がり、『人がいないので入らないか』と。それが豊田さんの事務所だった」と説明。

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 議員と向き合う上で大変だった経験もある。豊田議員ではない別の政治家についていた時代のエピソードだ。「議員自身が得意ではない弱いエリアを『開拓してこい』と飛び込みで行くことを命じられた。地元の方に“お前のボスは嫌いだ”などと言われながらも必死に開拓して、ようやく『今度呼んできて』と仲良くなったのに、本人が『行きたくない』と言い始める。2人目の私設秘書の時は“何のためにやっているんだろう”と思った」と振り返る。

 また、有権者との向き合いについて、「お祭りの時期になると毎週末、大小開催されるのだが、朝から議員に随行して、見逃しがないように地図に付箋を付け、小さな団地の公園にも顔を出す。行ったらフランクフルトや焼きそばを買うが、1箇所だけで買うと不公平だと言われてしまうので、すべてケアしないといけない。最初はめっちゃ食べれるじゃんと思ったが、あまりに多くて嫌いになった」と明かした。

 一方で、喜びややりがいもあったという。「やっぱり議員に役がつけば嬉しい。予算委員会などでテレビに映って、地元の人に『見たよ』と言われる機会が増える。他にも、毎日違う動きをして、いろんな人に会い、見られないものを見られることが多い。僕はスポーツが好きなのだが、スポーツセンターのオリンピック選手が練習するところに視察で行けることもあった」と話した。

■「秘書が3人では足りない。最低でも6人はいた方がいい」

 裏金問題について佐藤氏は「僕はなかった」と回答。取り沙汰されたパーティー券については「めちゃくちゃ大変。地元企業に買ってもらおうと思っても、なかなか買ってくれない。全然関係ない先輩や友人に『来なくてもいいから1枚買ってください』とお願いしていた。ただ、すごく得意な人もいて、数百万円から1000万円弱は集めていた」と明かす。

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 鈴鹿氏は、自身が裏金に関わることはなかったものの、「“それが私設秘書のボーナスだ”と言われたという話は耳にしたことがある」と説明。政治資金収支報告書の記載ミスについては「議員には必ず報告する。知らないという経験は、私はない」とした。

 それだけの激務で秘書の人数は適切なのか。「秘書会の中で議論になるのは、人数がたくさんいればいいという訳ではないが、公設秘書が3人では全然足りないと。私は朝7時半に議員会館に行っていたが、1分おきに“鈴鹿さん、鈴鹿さん”と呼ばれ、自分の仕事に手をつけられるのは夜6時に議員が帰ってから。そこから委員会質問の準備をして日をまたぎ、ということを繰り返している。人数がいれば休みが取れるうえ、仕事も分担できる。最低でも6人はいた方がいいと思う」と持論を述べる。

 また、その報酬は公費で賄われるべきだとし、「議員の支出になると裏金疑惑が必要性を持ってきてしまうので、それを排除するための公費。ただし、すべて透明にする。どのお金も誰に出て行ったのかがわかるようにしないと、国民も納得しない」と述べた。

 一方で、鈴鹿氏は秘書を目指す人が増えてほしいと訴えた。「政治を知ってもらう意味では、議員秘書はすごく良い経験だと思うので、1人でも増えてほしい。ただ、職業として選択しようという人をあまり見ないし、なって良かったと言う人がいないと増えない。給料制度を変えたり、政策秘書と公設秘書、また第1・第2の差別もなくしたりしていいと思う」。(『ABEMA Prime』より)

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