先日話題になった、「実家が太いことが人生イージーモードみたいに扱われてるけど、全然そんなことない」という投稿。実家が太いというのは、育った家庭が裕福、つまりお金持ちのこと。買い物も食事も何不自由なく、人生をエンジョイしていると思われがちだが、そうでもないという。
「人生を振り返るとイージーモードじゃないと思う」と話す、井上剛典氏(50)。父母はともに社長で、全盛期の年商は2人合わせて150億円を超えていた。「家政婦さん、運転手、別荘、クルーザーがあった。最新ゲームソフトは全部揃えて当たり前。なんでもあって当たり前だった」と振り返る。
絵に描いたような贅沢ぶりだが、その裏で苦悩もあったという。「甘やかされるのに慣れると、本気を出せない。なんでも適当、ダメでもいい、うまくいくはずないと思う。お前らいいよなと言われるけど、金持ちには金持ちの悩みがある」。
その中身について、『ABEMA Prime』で井上氏に話を聞いた。
■「何事も金銭解決で、友達もお金で買うみたいな」
大きな悩みは金銭感覚が人とずれていたこと。井上氏は「何事も金銭解決で、友達もお金で買うみたいな。学生時代は人気者だと思っていたが、実はお金が目当てだった」と明かす。
また、大きな後ろ盾により楽観的な性格だったそうで、「サラリーマンをしたことがない。両親が経営者だったので起業することは考えていたが、甘いまま大人になってしまった。本気でやらなくても結局うまくいくということが続き、世の中の当たり前を知らずに生きてきた感じだ」という。
しかし、悲劇が起こる。30代後半で祖父母からもらった不動産を売却し、月約100万円の収入が消滅。45歳で父から継いだ会社が別会社と合併し、クビに。さらに、47歳で父親の会社が倒産し、実家の収入が激減した。自力で経営コンサル会社を立ち上げるも、今まで働いてきた人は誰一人ついてこなかったそうだ。
井上氏は「(お金が)あるのが当たり前でずっと生きてきた中、それが突然なくなるのは恐怖でしかない」と話した。
元経産省キャリア官僚で制度アナリストの宇佐美典也氏は「気持ちはよく分かる」といい、自身の経験を語る。
「東大を出て経産省に入ったことで、人生のハードルが上がっていた。無意識にこの人間関係も続くものだと思っていたが、辞めたらほとんど何も残らない。“俺と付き合っていた人は本当に少ないんだ”と気づくわけだ。これが一線を越えてすごく楽になった。生活もきつい水準になったときに初めて人生のハードルを下げられたからだ。人間関係も再定義して正しい認識に切り替えられた」
その上で「金持ちに生まれたらどうしてもハードルが高くなってしまうし、周りもそれを前提に集まってくて、本当の人間関係もわからない。今は落ち切ったから楽だと思う」と投げかける。
これに井上氏は「1回上がったハードルや生活水準を下げるのは本当に難しい。“あいつ金持ちだよね”という周りのイメージを守りたい気持ちがある。また、妻にかっこ悪いところを見せられなくて最後まで苦労した。ただ、子どもの教育については手放せず、意地で頑張っている」と答えた。(『ABEMA Prime』より)
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