頼りとなるグループホームにも壁がある。支援を受けながら共同生活を行う制度上、子どもがいることを想定しておらず、入居者は原則18歳以上。たとえ入居する夫婦の子どもでも同居が認められず、乳児院に預けることが多い。
そうした状況で2人が相談したのは、ホームを運営する社会福祉法人「上州水土舎」の理事長・金谷透氏だった。「周囲は反対したんだけれども、本人たちは“ぜひ産みたい”と涙で抵抗した。完全にルール違反だと分かっていたが、我々としては支援をしたい」。
金谷氏は職員や世話人たちと会議を重ね、全面的なサポートを決意。彼らの協力を得て2013年、はるかさんが誕生した。保育園に預けるまでの1年半、24時間のケアが行われた。現在は定員4人のところに、はるかさんを加えた5人で生活。入居にかかるお金は夫婦の給料から支払われており、仕事に出かけている間、世話人が掃除や食事の準備を行う。
夫妻は十分な支援を受けていると言うが、子育てへの不安はある。「子どもが通学の時に“バカ”“死ね”と言われたことがあると、学校の先生に言われた」(幸子さん)、「いじめがあったり、子どもがちゃんと成長してくれるかが心配だ。知的障害のことは娘にまだ話していない」(正己さん)。
とはいえ、娘の成長は大きな喜び・楽しみにもなっている。「大きくなっていろんなことができるようになってほしい」(幸子さん)、「“学校で工作を作ったよ”“鉄棒をやった”という話をよくしていて、やっぱり楽しい。自立してくれればいいが、その時になってみないとわからない。普通に育って結婚できたらいいなと思っている」(正己さん)との思いを明かした。
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