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【映像】東大女子の「トイレ研究ノート」 驚愕の中身
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 3月10日、一般選抜の合格者を発表した東京大学。9432人が志願し、合格者は2993人だった。

【映像】東大女子の「トイレ研究ノート」 驚愕の中身

 国内最難関の東京大学に2年前、“少し変わった経緯”で入学したのが原田怜歩さんだ。

 「私は東京大学に学校推薦型選抜入試という形式で入学した。私は幼少期からトイレの機能や空間設計に関心があって、その研究をもとに志望した」

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 年間の募集人員が100人程度の東京大学の推薦入試。その狭き門を突破した原田さんの武器となったのが“トイレの研究”だ。

 「きっかけは中学生の頃に旅行で訪れたアメリカだ。なんのぬくもりも感じない便座に驚くとともに『日本のトイレはおもてなしの心がすごいんだ』と感じた。一方でアメリカの町には至るところにオールジェンダートイレがあった。日本からトイレの機能的側面を、アメリカから文化的側面を相互普及するべく、1年間国の代表として研究留学を無償で行った」

 「日本全国トイレの旅」と題されたノートには駅のトイレの写真に、設備の詳細などがびっしりと書きこまれている。原田さんはトイレを誰もが気軽に使える空間にするためにはどうするべきか、中学生の頃から研究を続けている。

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 数学オリンピックや、全国レベルのコンテストなどでの特出した成績がなければ合格できない印象もある東大の推薦入試。原田さん同様、東京大学の推薦入試の合格者には様々な特技を持った人がいるという。

 「カニの研究をしていた人もいた。あとは『国際科学オリンピック出場したことに加えてこんなことできる』など、一つの分野に固執していない方も。全体としては『東大に入って新たに獲得する知識をもとに既存の研究分野にないものを考察したい』という思いを持った人が多いように感じた」

 原田さんは高校時代、トイレにまつわるジェンダー課題を解決するためのチームを結成。SDGsを漫画で学べるトイレットペーパーを製作し「日本トイレ大賞」を受賞するなど、実績を重ねた。

 「コロナウイルスの影響で緊急帰国をした後、『トイレから社会課題を解決する』ことを目指す団体を立ち上げ、クラウドファンディングによる資金調達をもとにしたプロダクトを全国に寄付した。また、商業施設のトイレ設置に関する監修や顧問事業などを行い、そこで得た知見や既存の学問でフォーカスされていないトイレ分野の第一人者になりたいという思いで東大を志願した」

 もともと一般入試での入学を考えていたという原田さん。推薦入試での合格の決め手について、こう振り返る。

 「『推薦入試を通して、自身のプロダクトや今後の展望についていろんな意見を聞けてラッキーだな』という“ラフ”な姿勢が功を奏したのかもしれない。そして、『面接官一人ひとりにどうしてもこの課題についてもっと知ってもらいたい』という熱意が響いたようだ」

 現在は経済学部でオールジェンダートイレの普及以外にもトイレに関する幅広い学びを進めている。

 「トイレをより良いものにすることでどの程度収益が上がるかなどのインパクトを測定することで、日常的な空間に見落とされたニーズや伸び代を調査している。加えて、推薦の同期たちと車いすや乳幼児ベッドなど、さまざまな機能の付いたトイレを現在地から探すことのできるアプリ開発を行っている。これにより、既存のトイレを可視化して効果的に活用するほか、どの地域にどんな設備が不足しているのかなどの課題の洗い出しにもつながる」

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 大学の推薦入試の現状について東京工業大学准教授の西田亮介氏は「年長世代はついつい国立大学は難しい2次試験を経て入る場所であり、推薦入試やAOというと私立大学と思ってしまいがちだが、現在は約8割の国立大学において総合選抜(旧AO入試)等を実施しており、おそらく今後も増えていく」と説明。

 また推薦入試が増えた背景については「子どもの数が減ったため、単純に学力で競争させても十分な競争環境を維持できないという現実がある。そのため、いろいろな観点で評価をする総合選抜や推薦入試が必要になっている。実は総合選抜を用いることで“勉強ができない学生”ばかりが入るようになるというのは杞憂であることが既に知られており、入学後にも高いモチベーションを維持できる学生の獲得が狙いだ」と解説した。

 さらに西田氏は「入試の公平性」については「一般入試の方が一見公平に思えるがどちらも『対策』が可能であり、塾などにはすでにノウハウの蓄積がある。面接を含めた総合選抜においても『何を研究すればいいか』などは博士号取得者や塾の担当者などに聞けば『対策』ができてしまう。推薦入試・AO入試ではいろんな体験をすることが重要であるため、裕福な家庭が有利になるのでは、と指摘されがちだが一概にそうとは言えない。なぜなら素晴らしい研究とは『コストをかけずに人が驚くような成果を出したもの』のことだからだ。つまり、塾などに頼るという従来のやり方ではなく、新しいやり方を自力で生み出した人にもチャンスがあるということだ」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)

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