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【映像】大激闘を振り返る羽生監督の表情(9分20秒頃~)

 日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」予選Aリーグ2位決定戦、北海道・東北 対 関東Aが3月16日に放送された。本戦進出をかけたこの試合では、関東Aの羽生善治九段(53)がまたしても怒涛の4連投4連勝で北海道・東北を撃破。監督自ら白星を集めて予選突破を決めた。

【映像】大激闘を振り返る羽生監督の表情(9分20秒頃~)

 チームに勢いをつけたのは、先発棋士で第1局に出場した佐々木勇気八段(29)。北海道・東北の新エース小山怜央四段(30)との角換わり戦では、後手番から積極的に急戦策をとったものの、小山四段が冷静に対応しペースを握られる展開に。それでも佐々木八段の終盤の鋭さが勝り、超手数244手の大熱戦を制してチームに大きな白星を持ち帰った。続く第2局でも続投した佐々木八段が勢いに乗るかと思われたが、北海道・東北の戸辺誠七段(37)が得意の中飛車から“戸辺攻め”が炸裂。前局での疲労が響いたか、佐々木八段は力を発揮できず1勝1敗と星が並ぶ結果となった。

 ここで登板したのが関東A監督の羽生九段だ。流れを渡してはいけない、とオールラウンダーの羽生九段は、振り飛車党の戸辺七段に対して相振り飛車を宣言。戸辺七段の先手中飛車に対して、後手の羽生九段は向かい飛車を採用した。乱戦調の将棋へと展開したが、“レジェンド”の緩急自在の指し回しは解説の伊藤真吾六段(42)も「変幻自在」と驚くほど。戸辺七段の必死の粘りを振り切り、226手で勝利をもぎ取った。

 勝てば連投のルールとあり、羽生九段が第4局にも連投。続く野月浩貴八段(50)戦では、雁木VS矢倉の出だしから飛車・角が飛び交う激しい攻防戦を制し連勝。第5局では新鋭・小山四段との角換わり戦で苦しい立ち上がりとなったが、「不利になりながらも粘り強く指していたのが良かったのかな」と終盤できっちりまとめきって勝利。羽生九段の連勝で、関東Aは勝利へ“王手”をかけた。

 羽生九段の圧巻の勝ちっぷりはもちろん、関東Aの作戦会議室では木村一基九段(50)を筆頭に、近藤誠也七段(27)、石井健太郎七段(31)と戦いを終えた佐々木八段がチームを明るく盛り立て監督をフォロー。このチームワークも勝利を引き寄せる大きな要因となったようだ。

 迎えた第6局では、北海道・東北の真のエース広瀬章人九段(37)が登場。タイトル戦でも激突した豪華カードは、羽生九段の先手矢倉VS後手急戦の出だしとなった。連勝中の羽生九段は、ここで勝負を決めるとばかりに強気な攻めを展開。広瀬八段は△3五歩からペースを握ったと思われたが、羽生九段が絶妙に体を入れ替えて終盤では“羽生タイム”に。玉頭戦を制し、羽生監督自ら勝負を決め切った。怒涛の4連投4連勝を飾った羽生九段だったが、さすがに疲労の色濃く「くたびれました。本当に大変でしたけど、何とか前に進めて本当に良かったです」と語り、ホッとした表情を浮かべた。

 羽生監督は、予選3試合で怒涛の9勝。監督自らチームの勝ち頭としての存在感を見せつけたが、「ここ最近では(それぞれの試合日で)こんなに将棋を指した記憶はないので、充実した1日でした」と柔らかく笑う場面も。「苦しい戦いが多かった」と振り返ったが、見事本戦突破へ導き「本戦は違うチームとの対戦になりますし、少し間が空くのでそれまでに良い状態で迎えられればいいなと思います」と更なる厳しい戦いへ焦点を合わせていた。

◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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【映像】怒涛の4連勝も疲労困憊の羽生九段
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