レジェンドの力強い攻めがチームメイトをも驚かせた。日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」予選Aリーグ2位決定戦、北海道・東北 対 関東Aが3月16日に放送された。第3局に登場した関東Aの監督・羽生善治九段(53)は、“戸辺攻め”の異名を持つ北海道・東北の戸辺誠七段(37)を上回る強気の攻めで圧倒。その指し筋に、仲間からは「絶対に攻めるマン」の声も上がった。
両軍1勝1敗で迎えた第3局。関東Aからは監督の羽生九段、北海道・東北からは戸辺七段が出て今後の流れを決める2勝目を争った。振り飛車党の戸辺七段は、少々の無理は承知の上でとにかく積極果敢に攻めまくるという棋風。戦型としては中飛車の割合が多いが、三間飛車や四間飛車なども指しこなす。羽生九段は、対局前の作戦会議で「私も中飛車で、マニアックな戦型で行こうと思います」と宣言していた。しかし、先手の戸辺七段は▲7六歩に続いて▲7五歩。これに関東A控室の木村一基九段(50)は「お!戦法封じられちゃった(笑)」。羽生九段は△5四歩を選択し、戦型は戸辺七段の三間飛車、羽生九段は△4四角から向かい飛車を選んだ。
難度の高い相振り飛車から乱戦調の将棋へと展開。すると、羽生九段は攻めモードへと変幻自在にギアチェンジ。積極的に先手陣目掛けて攻撃を仕掛けてペースを掴みに行った。さらに金をぐんぐんと上がって△3四金。これには木村九段も「うわ~!それで飛車を回っていくんだ。力強いねー!これ、相手戸辺さんだからやってるよね。そんな感じしない?絶対に攻めるぞって感じだよね」とビックリ。盤上を映し出すモニターを凝視していた佐々木勇気八段(29)からは「絶対に攻めるマンか~…」との声も上がっていた。
羽生九段の猛攻にファンも大興奮。「イケイケじゃん」「若々しい」「攻めるマンw」「羽生さん若い」「絶対に攻めるマン会長」「羽生さんすごすぎてドン引き」「プロも楽しんじゃってるのかすごいね」のコメントが殺到していた。
“戸辺攻め”のお株を奪われる形になった戸辺七段は、このピンチに受けに回らずを得ない。解説を務めた伊藤真吾六段(42)からは「いや、ちょっと待ってください!戸辺さんが受けてますよ!?2局目と3局目、人変わりましたかね!?」と驚きを隠せない様子だった。
対局は、終盤で戸辺七段が驚異の粘りを見せ大熱戦となったものの、羽生九段が押し切って勝利。監督として、チームに大きな2勝目を持ち帰っていた。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)