メジャーリーグ・ドジャースの大谷翔平選手の元通訳・水原一平氏による、違法賭博問題が現在も大きな衝撃を広げている。
水原氏が関与していたとされているのが「スポーツ賭博」で、勝敗などの結果を予想し、賭けをするもの。現在、アメリカ50州のうち38州で合法化されているが、水原氏が住むカリフォルニア州では禁止されている。
日本では公営ギャンブルやスポーツ振興くじなどがあるものの、オンラインカジノやスポーツベッティングは違法だ。『ABEMA Prime』では、専門家とともにスポーツ賭博合法化の是非について考えた。
■スポーツ賭博の仕組み
米カリフォルニア在住のプロポーカープレイヤー・トシ氏は「メジャーな賭け方は、ハンデキャップを込みにした勝敗と、両チームの総得点など。総得点は勝敗がほぼわかっても結果が確定しないので、試合終了まで視聴率が落ちない。最近増えている“ライブベッティング”は、試合の途中でも賭けることができ、終了の数分前まで追加できる。これをやるのは主にヘビーユーザーだ」と説明。
アメリカで合法化が進んだ影響として、パックンは「テレビを見るとスポーツ賭博のCMがガンガン流れている。スポーツ番組ではコーナーがあり、“オッズはこうなっている”“こっちに賭けるべきだ”などとけしかけられる。CMの効果も大きい。やったことのない僕でも引き込まれる」と語る。
一方で、「2018年の合法化以降、ギャンブルをする人の母数が増え、依存症者が急増してしまった。ギャンブルの広告費にはお金が回っているが、対策費や治療費には降りてこない。日本だけではなくて、アメリカも同じ課題を抱えている」とした。
ギャンブル依存症問題を考える会代表の田中紀子氏は「日本は全く依存症対策を進めていない国。官民の連携で相談会が実現できたのは、明石市で実施した一例だけ。カジノ法案の時には、収益の一部を依存症対策に回すことを訴えたが、一切そういう話にならなかった」と述べた。
■スポーツ賭博合法化の是非
合法化についてトシ氏は「メジャーな番組でも賭け事の宣伝が増える。今まで5%ぐらいが違法賭博をしていたとして、合法化で20、30%に広がったり、高校生が親のアカウントを使ったりする。建前と実際のところは異なり、いろんな問題が増えていく」と否定的な立場。一方で、闇賭博を見える化することで莫大な掛け金など過激化を防げる良さはあると見ている。
田中氏によると、ギャンブル依存症になるとされる割合は約3%。リザプロ代表の孫辰洋氏は「スポーツにおける一つの楽しみ方がなくなるのは釈然としない。逆に言えば、97%の人は問題なくできている。100%美しいものは存在しないので、しっかり環境を作って合法化すべきではないか」との考えを述べる。
これに対し前明石市長の泉房穂氏は「弁護士としての経験上、薬物、性犯罪、ギャンブルの3つは理屈を超えてしまうことがある。他と違った厳しいルール化が必要だ。明石市発で全国に広がった政策は多いが、ギャンブル依存症の相談会は広がらない。対策の必要性が認識されていかない」との見方を示した。
田中氏はスポーツ賭博の危険性として、高校生からの相談もあるなど年齢層が若くなっていること、購入から結果のスピード感が速く射幸心が刺激されること、スマホにCMが出てきてやめにくいことをあげ、「パチンコの時代とは訳が違う」と指摘。「みなさんは合法化したら違法賭博がなくなると思っているが、違う。合法化して上限を設けても、違法のほうにいくわけだ。それが現実にカリフォルニア州でも起こっている」と訴える。
トシ氏は「私はもう文化の問題だと思っている。アメリカや韓国に行けばカジノでテーブルゲームができて、楽しめる。それでいいのではないか。日本で合法化したら、“好きな人がやればいい”ではなく、勧める形になってしまう。アメリカでは高校生でもギャンブルの話をするが、日本がそれをやる必要はあるのか。もっとやることがあると思う」と意見を述べた。
(『ABEMA Prime』より)
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