将棋の第9期叡王戦五番勝負第1局が4月7日、愛知県名古屋市の「か茂免」で行われ、藤井聡太叡王(竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、21)が伊藤匠七段(21)に107手で勝利した。この結果、シリーズ成績は藤井叡王の1勝。防衛4連覇に向けて幸先の良い先勝を飾った。第2局は20日、石川県加賀市の「アパリゾート佳水郷」で行われる。
タイトル戦で3度目の激突となった同学年の藤井叡王と伊藤七段。注目の開幕局は、藤井叡王の先手で両者得意の角換わりの出だしに。手探りのねじり合いから、両者が時間をたっぷり投入するじりじとした戦いへと展開した。昼食休憩を経て、藤井叡王は迫力の1時間10分の長考。攻め合いから、伊藤七段は先手玉頭への猛攻を仕掛けていった。
伊藤七段のペースで終盤に突入したと見られていたが、藤井叡王は技を駆使して簡単には手綱を渡さない。白熱の終盤戦では一進一退の攻防が繰り広げられたが、強気に踏み込み一気に流れを引き戻すことに成功。時間切迫の中、ぎりぎりの接戦の中で正確な手を重ねた藤井叡王が切れ味鋭く勝利を飾った。
この結果、藤井叡王は新年度のスタートとなる一戦で防衛に向けて好発進。藤井叡王は、「全体的に自信のない局面が多かった。こちらが2筋から攻めていく代わりに急所の玉頭に手をつけられ苦しい展開にしてしまったと思うので、その辺りの判断が少し課題が残ったかなと思う」とコメント。「新年度の初対局を地元(愛知県)で迎えられるのは嬉しく思っていましたし、終盤はかなり難しいところが多くて充実感ある将棋が指せたのかなと思っています」と語った。
八冠堅守の向けて先勝を飾ったものの、決して気の休まる間はない。10日には、豊島将之九段(33)を挑戦者に迎えた名人戦七番勝負が開幕。藤井叡王が名人位を初防衛か、豊島九段がタイトルを奪還するか、こちらも大勝負に挑むことになる。藤井叡王はダブルタイトル戦は過去に何度も経験しているが、その道のりは決して楽なものではない。今年度はどのような戦いを披露してくれるのか、藤井叡王の今後からますます目が離せない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)