プロ入り後の将棋のことなら、師匠より知っているかもしれない研究仲間の言葉に、ファンも爆笑だ。日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」本戦トーナメント決勝、関東B 対 中部が4月13日に放送された。この第3局で関東B・永瀬拓矢九段(31)と、中部・藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)が対戦。101手で藤井竜王・名人が勝利したが、第4局を前に敗れた永瀬九段が「(藤井竜王・名人は)まだエンジン全開じゃない」とコメントしたことで、周囲の棋士やファンの笑いを誘うことになった。
【映像】藤井竜王・名人を一番知る永瀬九段「まだエンジン全開じゃない」
藤井竜王・名人と永瀬九段といえば、藤井竜王・名人が最年少でプロ入りして間もないころから研究パートナーとして、ともに腕を磨いてきた間柄。当時は永瀬九段の方が地力で勝っていたが、その才能に惚れ込んだのか、わざわざ愛知まで出向きともに研究を重ねてきたことは、将棋ファンの間でも有名な話だ。現在は藤井竜王・名人が八冠独占状態だが、それ以前は永瀬九段もタイトルを保持し、八冠独占を阻止できるかどうかも大注目になっていた。
練習将棋だけでも大量に指してきた2人だけに、今が本調子かどうかはお互いよくわかるのだろう。第4局、関東Bは増田康宏八段(26)の出番に。対局前の作戦会議で、対藤井についてあれこれ会話を交わしていたが、ここで先ほど敗れたばかりの永瀬九段が「エンジンは全然かかってなさそう」とポツリ。これを聞いた森内俊之九段(53)が「いやいやいや」と苦笑いすると、増田八段も「マジっすか!?相当強かったですよ」と、つい聞き返した。
改めて問われても永瀬九段の感覚は揺るがないようで「あれはまだ…エンジンがまだ。叩き頃の感じが。まだ全開じゃない」と、天才棋士がキレッキレの時もよく知るだけに、出力100%にはほど遠いと続けていた。これにはファンも「さすが詳しいなw」「エンジンかかってなくてあんなに強いの?w」「完敗してるのにマジか」「あれで!?」といった反応を大量に寄せることとなった。
なお対局は、藤井竜王・名人が永瀬九段に続き増田八段も下すと、その後も徐々にエンジンの回転数を上げるように森内九段、監督・渡辺明九段(39)を倒して4連勝。チームを優勝に導いていた。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)