天真爛漫系リーダーの誕生だ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」は、今大会からより厳選された11人のリーダーがドラフト会議に出席、エントリーチームと合わせて計12チームで戦う。今大会で初のリーダーを務めることになったのは2人。そのうち1人が順位戦A級棋士・佐々木勇気八段(29)だ。これまでは先輩のリーダーに指名され、のびのびと指してチームに貢献する役回りだったが、リーダーになったことで大会にどう向き合うか。
10代で棋士になって以来、センス溢れる指し回しで天才の一人と注目されてきた。また盤外でも明るい性格で先輩たちからかわいがられ、部活動にもよく顔を出してきた。仲のいい棋士も多い分、どんな棋士を指名するかは、ファン注目のポイントだ。「リーダーになれたのはとてもうれしいです。団体戦になって最初、(当時の)豊島将之竜王・名人に選んでいただいた。それがもう4年前ぐらい。私はC級1組とかだったと思いますが、その時はまさか自分がA級になって、リーダーになっているとは思わなかったので、そういう意味では結構感慨深いですね」と、しみじみとした。
選ばれる側もドキドキなら、選ぶ側もドキドキだ。「仲の良い棋士が非常に多いですし、あとお世話になっている先輩方もいる。本当にどなたを選べばいいのかは非常に迷っています」と、将棋以上に頭を悩ませる。それでも戦術的に「何となく思い描いているのは、振り飛車党の方をちょっと欲しいな。あとは、若手の有望株をちょっと欲しいなと思っています」と、戦い方の幅を広げる振り飛車党、早指しが有利に働く若手という候補を出した。「自分のチームが当たった時に、やっぱり(相手に)振り飛車党がいると結構対策が難しかったので、1人振り飛車党がいると相手からしてみても対策しづらくなるのかな」と考えた。
昨年は、渡辺明九段(39)のチームに加わったが「最多対局、最多敗みたいなことを結構言われた」と苦笑いする。それだけに、まずは個人として結果を出し、そして仲間をまとめるのではなく引っ張るタイプのリーダーになる。楽しげに勝ちまくる佐々木八段の姿を見せることが、チームメイトにとっては何よりも頼もしい。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)