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【映像】“有毒な男らしさ”とは?

 2016年〜2022年のアメリカでの抗うつ剤の調剤率を調査したところ、コロナ禍において12〜17歳の女子は大きく増加していたのに対し、男子は微増にすぎなかったという。原因はどこにあるのか?

【映像】“有毒な男らしさ”とは?

 この月間の抗うつ剤の調剤率(人口10万人あたり1回以上の抗うつ薬の処方)に関する調査について3児の母でハーバード大学医学部准教授の内田舞氏は「前提として、コロナ禍のアメリカでは子どものメンタルヘルスが“国家の危機”として発表されていた」と補足した上で、グラフだけでは読み取れない実態について述べた。

 「当時は学校における問題行動が増加し、オンラインにおける攻撃も増え、塞ぎ込んでしまう子・学校に来れなくなる子も非常に増加したのだが、そこに男女差はあまりなかった。そのため、グラフからは男子はうつに苦しんでいなかったように見えるがこれは実態とは異なり、専門家たちも『男子はうつに苦しんでいてもケアに辿りつけない確率が女子より高いかもしれない』という見解を示した」と説明した。

 同調査は18〜25歳の男女に対しても実施しているが、ここではコロナ禍の前後で男性が微増しているのに対し、女性は急増している。

 この結果について内田氏は「うつになる人の人数を比べるとどの国でも女性の方が多い。だが、そもそもうつは血液検査で決まるわけでも、脳画像を撮影して判明するものでもなく、ケアを受けに来ないとなかなか認識されないものだ。そのため、認識されている数としては女性の方が多くても、男性がうつになっていないわけではない。事実、自死を選ぶ人の数で見ると男性の方が女性よりもずっと多い。そのため、もしかしたら男性は子どもでも大人でも、苦しんでいてもあまりケアにつながっていないのかもしれない」と分析した。

 さらに内田氏はこうした背景には「トキシック・マスキュリニティ(有毒な男らしさ)」があると語る。

 「男性らしさ=権力・肉体的にもパワーがある、というイメージが先行して、『男なんだから泣いちゃダメ』『男だったらここは耐えろ』『一家の大黒柱として倒れてはいけない』といった言葉がアメリカでも投げられることがある。そのため、悲しみや悔しさ、寂しさといった感情を男の子が正直に示せなくしてしまってるんじゃないかという議論になっている」

 トキシック・マスキュリニティをアップデートするためにどのような取り組みが求められるのか?

 内田氏は「例えば、アメリカでは『男の子でも泣いてもいいよ』とプリントされたTシャツが配られたり、『男の子でも女の子でも強くていいし弱くてもいい』というような提言がどんどん見られるようになってきた。また、『基本は子どもが主体』であるべきだが、メンタルヘルスに苦しんでいる子どもが自分から『ケアを受けたい』と言える環境にない場合、当事者任せではなく、周囲の大人が状況を認識して『大丈夫?』と声をかけたりするアプローチが大切だ。男の子でも女の子でもうつになることあり、誰もがケアを受けていいという認識が広がってほしい」と述べた。

(『ABEMAヒルズ』より)

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