チームのピンチはリーダー自ら切り抜ける。そんな強い闘志が盤上に現れた戦いぶりだった。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」予選Bリーグ第1試合、チーム菅井 対 チーム斎藤の模様が5月18日に放送された。チーム菅井4連敗で崖っぷちに立たされた第5局では、リーダーの菅井竜也八段(32)が出陣。勝負を決めに出た相手を叩き切るような豪快な勝ちっぷりに、ファンからは驚きの声が多数押し寄せた。
4連敗という現実に、「ちょっとじゃない、だいぶ追い込まれていますね(笑)」苦笑いを見せながら対局場へと向かった菅井八段。それでも、この苦境に「自分で終わるともったいない。先輩に指してもらいたいので、なんとか繋げられたら」と強い闘志をみなぎらせた。対するはチーム斎藤の高見泰地七段(30)。第2局でも対戦があったものの、序盤でペースを握られた結果、力を発揮できずに黒星を喫していた。再戦となった第5局は、菅井八段の先手で中飛車の出だしに。互いに絶対譲れぬ強い気持ちを込めるかのように、相穴熊のじっくりした戦いへと展開した。
チーム斎藤はこれまでに4連勝とあり、高見七段としては何としてでもここで勝負を決めたいところ。超攻撃態勢を取ると、解説の鈴木大介九段(49)からは「これはオールイン態勢です!」の声が飛んだ。中終盤では攻撃に全振りした高見七段に、鈴木九段は「ひえ~っ!うそでしょー!高見さん、“ブレーキ”が!“ブレーキ”が!」と悲鳴を上げる場面も。いつも朗らかで笑顔が印象的な高見七段の表情のギャップに、ファンも驚きを隠せない様子だった。
高見七段が優位に立って終盤へと突入したものの、対する菅井八段も終盤の勝負力は棋界随一。鈴木九段も「この勝負、ひるんだ方が負け!」とうなる白熱の熱戦となったが、攻め合いから妙手連発で超攻勢の相手を叩き切った菅井八段が169手で勝利をもぎ取ってみせた。
この勝利に、チーム菅井の佐藤康光九段(54)、丸山忠久九段(53)も「強いもんですね…」と強すぎるリーダーを絶賛。視聴者からも「ナイスガイ!」「おもしろかったー!」「さすがです!」「熱戦やった!」「名局賞あげれ」「熱かった」「よくわからんがおもしろすぎるw」「あれ勝つのか」「かっけーよ」と多くの労いの声が寄せられていた。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)