クマの出没情報が連日伝えられるなか、北海道のとある猟友会が、駆除への参加辞退を表明した。
【映像】怖すぎる…停車する車の真横を闊歩するクマ(実際の様子)
日当4800円という「報酬の安さ」ばかりが注目されるなか、猟友会メンバーに詳しい話を聞くと、意外な真相が見えてきた。
北海道奈井江町では、2023年にクマ目撃情報が20件あったため、猟友会に「鳥獣被害対策実施隊」への参加が呼びかけられた。北海道猟友会 砂川支部 奈井江部会の山岸辰人部会長は、町役場から2024年4月中旬ごろ、「参加してください」と連絡があったと語る。
役場からは「基本的に『箱わな』で捕る。皆さんが鉄砲で撃って殺してくれればいい」と言われたものの、実際には「トラックで処理場まで持っていき、北海道に検体を出さなければならない」。死体はその後、隣の砂川市の火葬場で焼却処分する必要があるが、「動物用の釜に50キロくらいしか入らない。1頭200キロなら解体しなければいけないが、4つにバラしても、それだけで8時間かかる」。
そもそも猟友会は、都道府県が管理する鳥獣駆除の資格を持ったハンターの集まりで、害獣駆除のために結成されたものではない。
「これじゃまるで(町役場の)下請け。我々は仕事を持っていて、ヒマではない。猟友会は『狩猟趣味を一緒に楽しもう』というのが基本的理念で、お金稼ぎをするところではない。私たちは税金を払って、狩猟というスポーツを楽しむ。駆除を役場から頼まれても、それは我々の自由意志で、金銭をもらわない代わりに、何の拘束も受けない。法律の範囲でやるだけ」(北海道猟友会 砂川支部 奈井江部会・山岸辰人部会長)
クマが出没すると、必ず猟友会が出てくると思っている人も多い。しかし本来は、自治体が招集をかけても、猟友会は必ずしも応じる義務はない。その上で、山岸氏は「クマとシカの猟は別次元」と説明する。
「シカの駆除での死亡は、あまり聞いたことがない。事故で死亡した人の半分はハンター。正直駆り出されたくない。自ら進んで寿命を縮めるようなことはしたくない。ちぎられた腕が戻ってくるわけではない」(山岸部会長)
山岸氏ら猟友会は、町役場が増額要求に応じなかったため、町長宛に辞退表明を行った。これを受けて奈井江町は、「金額の増額も含め、猟友会と改めて話し合いを行い、町民の安全を確保できるよう努めていきたい」としているが、山岸氏は報酬を増額しても、辞退の意思は変わらないという。
ハンターたちの実情を聞いて、スピードワゴンの井戸田潤は、駆除について「自衛隊や警察がやるべき仕事」ではないかと指摘する。「猟友会がやることではない。現場のことがわかっていない感じがする」。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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