興奮気味に、思わず声をあげる釣り人。
古代魚のような特徴的な魚体にびしっと並ぶギザギザの歯。
「生きた化石」とも呼ばれるサメの仲間「ラブカ」。遠い昔にタイムスリップしたかのような見た目だが今月、日本の海で釣られた。
「映像とか写真で見たことはあるが、実際に存在するのかちょっと信じられないぐらい」
神奈川県で漁業を営む、いわき丸船長の岩木恵大さん。今月24日のお昼ごろ、神奈川県の相模湾でベニアコウという別の魚を狙っていた時にいわき丸に乗っていた男性が釣り上げたという。
「(釣れたのは)だいたい水深1000メートル、大きさは160センチ。本物を見るのは初めてだ。サメの仲間だが、意外と細長くてニョロニョロしていた。とにかく歯が特徴的。もういかにも“古代魚”って感じ」(岩木さん)
かなり珍しいというラブカ。専門家に話を聞くと…。
「写真を見る限りラブカだと思う。非常に有名な深海ザメの仲間で、一般的な言い方をしてしまえば、レアなサメだ」
東海大学海洋科学博物館学芸員の山田一幸さん。これまでラブカに関する調査・研究を数多く行ってきた。
山田さんによると、ラブカは駿河湾や相模湾などで漁の網にかかるケースが多いが、網を破ってしまうことから漁師の間では嫌われ者として知られる存在だったそう。ただ、今回のように、釣り上げられることはかなり珍しいという。
「写真を拝見したが、体表もすれていない状態で上がっていたので、すごくいい状態で釣り上げられているようだ」(山田さん)
その希少性がゆえに、水族館でもお目にかかることが難しいラブカ。沼津港深海水族館でも過去にラブカを飼育していたが、網にかかり水族館に搬入された時点で弱っており、3日ほどで死んでしまったと担当者は話す。
「我々としては、生きた個体をできるだけ状態の良いまま水族館に搬入したいという希望があるので、“釣り”というのはベストな方法。なんとか釣り上げようと何度か挑戦したことがあるが、やはりなかなか叶わない。釣れたという記録はかなり珍しい」(山田さん)
研究者から見ても、釣り上げられることは珍しいというラブカ。釣り人からラブカを譲り受けたという岩木さんは現在、自宅の業務用冷凍庫でラブカを保存しているという。
「一生に一度釣れるか釣れないかという奇跡の魚。本当に必要としてる人、魚のレア度も分かっている人には譲ってもいい」(岩木さん)
(『ABEMAヒルズ』より)
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