将棋の第95期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第1局が6月6日、千葉県木更津市の「龍宮城スパホテル三日月」で行われ、藤井聡太棋聖(竜王、名人、王位、叡王、王座、棋王、王将、21)が挑戦者の山崎隆之八段(43)に90手で勝利した。シリーズ成績は藤井棋聖の1勝。防衛5連覇で達成となる史上最年少での“永世資格”獲得へ向けて、一歩前進となった。注目の第2局は6月17日、新潟県新潟市の「高志の宿 高島屋」で行われる。
防衛5連覇で永世資格獲得を目指す藤井棋聖に、15年ぶり2度目のタイトル挑戦となった山崎八段が激突する、注目のシリーズ開幕戦。振り駒で山崎八段の先手番となると、得意の相掛かりの出だしから力戦へと展開した。長くじりじりとした序盤戦を経て、藤井棋聖は個性的な将棋を展開する山崎八段にペースは握らせないとばかりに、自身の玉頭から攻撃を開始。ぐんぐんと進攻し先手陣へプレッシャーをかけていった。
独創性な指し回しで、少々の劣勢もいとわず逆転してしまう勝負術が魅力の山崎八段。絶対王者を揺さぶるように端角をぶつけて勝負を挑んだものの、藤井棋聖は冷静さを失わない。スローペースだった序・中盤戦からは一転、終盤戦は一気にスピードアップ。藤井棋聖は受けに回るかと見られた局面でも、リードを拡大するべく強く敵陣に踏み込んで勝負を決めに出た。最後は激しい斬り合いとなったものの、藤井棋聖のアクセルは全開。山崎八段の粘りを許さず直線勝負から白星をもぎ取った。
終局後、藤井棋聖は「まずは良いスタートがきることができた。第2局以降は先後が決まっているので、準備をしっかりしていきたい」とコメントし、早速次戦を見据えていた。
この結果、藤井棋聖の先勝でシリーズ成績は1勝に。棋聖5期で付与される『永世棋聖』を最速・最短で獲得するべく、まずは1つ目の白星を手にした。永世棋聖は大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人、米長邦雄永世棋聖のほか、資格保持者は羽生善治九段、佐藤康光九段と将棋界のレジェンドが名を連ねているが、藤井棋聖が獲得した場合は6人目の快挙となる。なお、永世称号獲得の最年少記録は、23歳11カ月で達成した中原永世棋聖が保持している。
全八冠を手中に収めている藤井棋聖は、年間を通してタイトル防衛戦に臨んでいる。5月には名人戦七番勝負の初防衛に成功。さらに、現在は同学年の挑戦者・伊藤匠七段(21)との叡王戦五番勝負の期間中でもある。激務の中で始まった新シリーズだが、新たな棋風の挑戦者・山崎八段から幸先の良い先勝を飾れたことは大きな戦果だ。先手番で迎える第2局では、どのような将棋を展開するのか。注目の次戦は6月17日、新潟県新潟市の「高志の宿 高島屋」で行われる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)