これは、「妹がいる長女」と「弟がいる長女」を比べたときに、「弟がいる長女」の方がさまざまな負の影響を受けることを指す言葉だ。この言葉がX上で話題になると、「私もそうだった」と多くの声が上がった。
「弟は習い事をさせてもらっていたのに、私は塾も行けなかった…」「名前がついていたんだ…うちもこの状況だった…」(Xの投稿)
「女は家を出てけって言われて、兄と違って誕生日ケーキすら買って貰った事無い人生だった」(小梅さんのX投稿)
現在、専業主婦として暮らす小梅さん(40代)は、弟ではなく兄を持つ長女だったが、まさにブラザーペナルティーといえる家庭環境だったと振り返る。
小梅さんは、年末生まれの兄は毎年誕生日ケーキをもらっていたが、夏生まれの自分は「ケーキが溶ける」と言われて買ってもらえなかったと振り返る。進学も思うようにできず、小学生の頃から美容師を目指していたものの、兄が専門学校へ行くと「お前は専門学校に行かなくていい」と諦めさせられた。
「『女はどうせ嫁に出て行くんだから手に職よりもお料理を』という家だった」という。小梅さんは現在パート勤務で年収は100~200万円。一方、兄は共働きで子ども2人を大学に行かせる余裕のある収入があるという。
ブラザーペナルティーとしては「兄と妹」のケースはまだ因果関係が明らかになっていないが、「長女と弟」の組み合わせについては各国で研究が進んでいる。研究者の一人、拓殖大学の佐藤一磨教授は「性別分業役割意識」をキーワードに挙げる。
「親は自分と同じ性別の子どもと一緒の時間を共有しやすい。さまざまな行動や考え方が混ざってきて、男性は仕事、女性は家事育児という考えも含めて『男の子はこういうもの、女の子はこういうもの』という考えが強くなると考えられる」
また佐藤教授は、子どもが自分の兄妹と差別化することで個性を獲得する傾向があることも影響していると指摘。弟がいる場合、長女の行動パターンが伝統的な性別分業意識に則ったものになる可能性があるという。
大人になるとどういった影響があるのか。世界でもブラザーペナルティーは報告されており、弟がいる長女と妹がいる長女の年収を比較すると、デンマークでは弟がいる長女のほうが約2%、アメリカでは約7%年収が低いという。
日本ではどうか? 佐藤教授によると日本では約16%も年収が低くなるという。
欧米よりも差が大きく、弟がいる長女ほど専業主婦になる割合が高く、正社員割合が低くなる傾向がある。また、家事育児時間も弟がいる長女ほど長くなり、「男性は働き、女性は家庭を守るべき」という意識も高い傾向がある。
弟をもつ長女は専業主婦割合が高く、収入が低く、家事育児時間が長い。このブラザーペナルティーを発生させないためにはどうするべきか?
佐藤教授は「親が子どもと接するときに、『女の子だから・男の子だから』という視点を強く持ちすぎないことが重要。夫婦で家事育児を共にする姿を見せることで、子ども世代が性別役割意識を持ちにくくなり、長期的にはブラザーペナルティーの影響も緩和されていくのではないか」と指摘した。
(『ABEMAヒルズ』より)
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