対局者の心理をカンペキに解説!?先崎学九段(54)の爆笑解説がファンの話題となった。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」予選Dリーグ第2試合、チーム稲葉 対 エントリーチームの模様が6月29日に放送された。大会出場経験を持つ先崎九段は、超早指し戦での対局者の焦る心境をまるでアテレコのように実況。視聴者からは「解説じゃなくてアテレコ」「先ちゃんに読み切られとるw」とコメントが押し寄せた。
優勝経験を持つチーム稲葉VS予選勝ち上がりのメンバーで構成されたエントリーチームが激突した本試合。チーム稲葉は、リーダーの稲葉陽八段(35)の若手起用の采配が的中し、2連勝とスタートダッシュに成功していた。迎えた第3局では、現役最年少棋士で加古川青流戦覇者の藤本渚五段(18)とエントリーチームから大会初出場となる井出隼平五段(33)が激突。井出五段の先手で四間飛車対急戦の出だしとなった。
井出五段にとっては、本局がABEMAトーナメントデビュー戦。やや緊張した表情で対局に臨んでいたが、井出五段のペースでの進行となった。しかし、相手は受けの力に定評がある新鋭だ。繊細な駆け引きが求められる中盤戦では、井出五段に選択が求められる場面が訪れた。
本局で解説を務めたのは、第5回大会でチーム康光のメンバーとしてABEMAトーナメント出場経験のある先崎九段。井出五段とは普段から交流があるといい、対局に臨む後輩の心理を交えて実況解説した。後手からの進攻を受け止める一手かと思われた局面では、「4六歩がセオリー。ただ、セオリー以外の手を指したくなる気分が井出先生には訪れている…ほら、歩を打つのをためらっている」との解説に対局者の手の動きがリンクした。
この▲4六歩に対し、藤本五段は我慢の金引き。これに先崎九段は「(金を)引くのが正しそうですが、桂打って前に出るのも積極的で好感が持てる…。先手にとっては(金引きで)我慢されるのも“うーん”っていう感じですね」とコメントした。井出五段は桂打ちからの積極的ルートを読んでいたか、まるで解説が聞こえていたように首をかしげて頭を掻いて、“うーん”の表情。先崎九段は「ほらほら。『引くんかい!』みたいなね(笑)」と対局者心理と表情を織り交ぜた名解説を披露していた。
これにはファンも爆笑。「言ってそうwww」「こけっ」「オモロw」「ひくんかいw」「分かりやすい」「全員につっこまれる井出」「解説じゃなくてアテレコ」「先ちゃんに読み切られとるw」「しぐさが面白いw」など、様々な声が寄せられていた。
対局は激しいねじり合いから玉頭の接近戦に。後手の藤本五段が力を溜めこむように辛抱を実らせ、△3五金から手堅く押し切り、チーム稲葉に3勝目を持ち帰った。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)