■急増するADHD診断者、グレーゾーンも 周りはどうすれば?
2010〜2019年度に新たにADHDと診断された人数は約84万人で、20歳以上の年間発生率は21.1倍と急増しているという。精神科医・早稲田メンタルクリニック院長の益田裕介氏は「認知度が上がり、スクリーニングされやすくなった。親や教師もそういう特性を持つ子がいるということがわかり、受診につながりやすくなったことが大きい」「なかなか治らないうつ病や、パーソナリティ障害と診断されていた人が、発達障害の視点で診断し直した時にそうだったとわかるケースも多い」と説明。
また、生きるハードル自体が上がってきているとの見方も示す。「精神科の診断は、社会的に障害があるか・ないかというところが最終的なラインだ。現代はマルチタスクや激しい頭脳労働が求められる社会で、ギリギリの人たちが脱落してしまう。そこで苦しくて声をあげている人たちがたくさんいる。子どもの時には診断されなかったけれども、大人になって知ってから生きやすくなったとか、うちの親は発達障害だから家事が苦手だったのかとか、そういうかたちでわかるケースも増えている」。
「nuts」専属モデルの今井アンジェリカは、自身の周りにも“自称ADHD”の人が溢れていると話す。「ギャルも大体忘れっぽかったりするので、“うちはADHDだから”と言う。ただ、ADHDが発達障害だということは知らない子も多くて。周りの子たちも、そういう言葉を、障害とは受け止めずに右から左へ受け流している」。そうした言葉はやはりSNSをきっかけに知るそうだ。
一方、パックンは「“◯◯ができない”だけではなく、ADHDであろう過去に大活躍した人物を受けて、カミングアウトしている有名人もいる。“偉大な成績を残す力の源”というイメージも出回っていて、言って損はないと思う。実はお笑い芸人にもすごく多い。アメリカのコメディアンや役者だと、自虐ネタ込みの面白い人物のキャラ作りにも役立つ。本当の方も、ファッションの方もいると思うが、流行っているのは間違いない」とした。



