混雑する横断歩道。多くの人が様々な方向に歩いているのに、ぶつからないのはなぜなのか?
【映像】「おお、ぶつからない!」「人間ってすごい!」ユニークな実験映像
これは、2つの集団が向かい合って歩くと自然といくつかの列に分かれる「レーン形成現象」のおかげだという。
この仕組みを解明するため、ユニークな実験が行われた。
「個々の体の動きとそれが集団全域に影響するのかは分かっていなかった。特に個人の手や足の細かい動きも関係しているのか、そういった点を見ようとした」
こう話すのは、研究チームで歩行ステップに関する実験を行った京都工芸繊維大学の村上久助教。24人からなる2つのグループに、横断歩道を模した空間を向かい合う方向に歩いてもらい、両足に加速度センサーを付け、足並みが同期しているかなどを調べた。
実験の条件は2つあり、1つは普段どおり歩いてもらう。もう1つはスピーカーから普通に歩く速さのテンポで電子メトロノームの音を流し、それに合わせて歩いてもらうというものだ。
従来の実験では、音に合わせて歩いたほうが周りと歩調がそろえられるため、流れがよくなりぶつかりにくくなると考えられていたが、今回の実験では興味深い結果が出た。
実は、音がないパターン時のほうが列の数が少なく、太くなったのだ。一方、音があるパターンでは、列の数が多く、列自体が細くなっていた。
「列が細いというのは列が多いことを意味する。列が多いと接触面も多くなり、少しよろけただけですぐぶつかってしまう」(村上助教)
一人一人の肩の動きを見ると、音がある時は大きく肩を回転させて対向者をよけようとする動作が見られた。一方、音がない時は列が少なく太くなることで、より列が壊れにくくなった。
つまり、音に合わせて足並みをそろえるのではなく、バラバラに歩いたほうが対向者との距離感を自分のタイミングで「柔軟に」調整でき、ぶつかることなくスムーズに歩けたのだ。
この結果について、研究チームの都丸武宜特任研究員は…
「横断歩道などで、たまたま集まった人々が一切の訓練なしに自然とぶつからずに動けるのは、個人が自由に動いていることが利いているからだ。自分が動きたいタイミングで動かなければ全く未知の状況ではうまく動けない。(音などで)外から動きを統制してしまうのはよくないのだと考えられる」
今回の実験結果は、社会の集団現象を理解する上で重要な示唆があるという。
「雑踏事故を防ぐといった群集マネジメントの研究では、歩行者の集団としての特性を明らかにすることで、よりよいマネジメントが可能になる。個人の動きを“揺らぎ”という不要なものとして扱うとよくない場合もあることが分かったことで、貢献できることがあると思う」(都丸特任研究員)
(『ABEMAヒルズ』より)
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