7日に投開票された都知事選と都議補選は国政にどのような影響をもたらすのか? 日本大学危機管理学部教授/東京工業大学特任教授の西田亮介氏に聞いた。
西田氏は都知事選の総括として「順当な結果だったが、2番手以下の並びには驚かされた」と述べた。
「現職が圧倒的に有利とはいえ、候補者が多数出てくる中でもしっかり300万票近くを取って勝ち切った小池氏は『やはり力がある』という印象だ。そして、市長の経験はあるものの、政治活動期間が短い石丸氏がまさかここまで伸長するとは。165万票という数字は、(選挙区が重なる)前回の参議院の東京選挙区であれば大差でトップにたてるようなものだ。ただし、これは同時に野党第1党から無所属として出馬した蓮舫氏が128万票しか取れなかったことの裏返しでもある」
西田氏は蓮舫氏が伸び悩んだ要因について「都議補選と合わせて考えるべきだ」と指摘した。
「現在、自民党の政治と金の問題に対する反発は非常に強く、自民党は都議補選では8議席中でわずか2議席しか取れなかった。ところが、野党第1党の立憲民主党がその受け皿になれておらず、補選でも1議席しか獲得できなかった。それが蓮舫さんが伸びなかった一つの要因であり、結果的に主要候補と呼ばれてる人の中では年齢が若く、フレッシュな印象を与える石丸氏に票が流れたのではないか」
さらに西田氏は「この結果は今後の国政にも大きな影響を与えうる」と強調した。
「都知事選において、立憲民主と共に共産党が強く蓮舫氏を支持したことが知られているが、今回の結果を受けて立憲民主は『共産党を巻き込む野党共闘で国政選挙を戦う』という戦略の見直しを迫られるのではないか。対して、自民党にとって今回の選挙は政治と金の問題に対する国民の強い不満もあって難しいだろうと見ていたはずだ。だが蓋を開けてみると自分たちに対する不満が、政党という単位でみれば、野党第1党の立憲民主党、さらには日本維新の会にも流れていないことに気がついたはずだ。そのため、『意外と自分たちも戦えるんじゃないか。もしかすると解散を前倒しにした方が有利なのでは?』などとも考えているかもしれない」
では、自民党総裁選はどうなるのか?
「茂木氏も石破氏も急速に動きを活発化させている。これはもしかすると解散風や世論の動きを敏感に察知し、今まさに試行錯誤しはじめたのかもしれない」
(『ABEMAヒルズ』より)
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