【WRC】第8戦 ラリー・ラトビア(7月18日〜21日)
WRC(世界ラリー選手権)初開催のラトビアで、WRC2カテゴリーのヘイッキラがあわや大クラッシュのギリギリドリフトで窮地を脱し、話題を呼んだ。
WRC2のミッコ・ヘイッキラは元フィンランド国内ラリー選手権王者で、今季はトヨタGRヤリスでWRC2カテゴリーに参戦。しかし競技3日目、SS12のスタート時点で彼のマシンをよく見ると、両フロントタイヤの前方ボディパーツが破損しており、タイヤが丸見えの状態になっている。
解説で全日本ラリー等でコ・ドライバー経験がある小坂典嵩氏は、このマシンを見て、「ラリー2のクルマはあまり大型の空力パーツを付けないので、すこし破損したくらいでは走行への影響は少ないものの、それでバランスを崩してしまうこともある。また、タイヤがぶつかってアライメントが狂うと真っ直ぐ走れなくなる」と語った。
実際、ヘイッキラのマシンはコーナーや凹凸を乗り越えるごとに、ボディが浮き沈みを繰り返し、トラクションがまったくかかってないかの様子。コーナーではマシンが右に左に方向を変えて、今にもコースアウトしてしまいそうだが、ギリギリでドリフトを決めてコース内を維持しているような状態だ。
そして、コース途中のゲートを抜けた先のS字コーナーでは、立ち上がりでボディが浮いて踏ん張れず、ボディ左後方がコース脇の草むらへ突入。思わずコース脇でカメラを構えていたレースカメラマンも身体を背けるほどだった。この時、ボディはもう横を向いていたが、ヘイッキラは豪快にマシンのリアをスライドさせて、そのまま止まることなくコースに戻り、まるで何事もなかったかのように走り続けた。コース脇のカメラマンが目を背けるほどの迫力だった。
しかし、SS13フィニッシュ後、本人はインタビューに対して、「非常に難しいステージとわかっていた。タイヤが一番問題で、大きくスライドしたが、自分としては楽しかったよ」と危機回避の瞬間を楽しんでいたという。マシンをぶつけても豪快な攻めのドライビングを続け、平然とした態度をとるヘイッキラは、大器と言える存在なのかもしれない。
(ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2024』/(C)WRC)