「堅すぎる」「戦う気がしない」解説者がさじを投げた堅陣に井出隼平五段、決死のアタック!/将棋・ABEMAトーナメント2024
【映像】堅すぎる穴熊

 金銀4枚+角。あまりの堅さに戦意喪失というところ、この男は違った。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」予選Dリーグ第3試合、チーム佐々木 対 エントリーチームの模様が7月27日に放送された。第4局はチーム佐々木・伊藤匠叡王(21)とエントリーチーム・井出隼平五段(33)が、第1️局に続いて対戦。前回敗れた伊藤叡王が、後手番から穴熊でガチガチに固めた様子に、解説者が「堅すぎる」「戦う気がしない」とさじを投げられた。

【映像】堅すぎる穴熊

 解説やイベントでも、自虐を込めた絶妙トークで人気の井出五段だが、将棋でも振り飛車党として個性的な指し回しを見せている。エントリートーナメントも見事に勝ち抜きチーム入り。大会の目標を「1勝」としていた中、第1局ではタイトルホルダー伊藤叡王から逆転勝利をもぎ取り、すっかりご機嫌になっていた。井出五段の奮闘に引っ張られるように、エントリーチームは第2局、第3局も勝利。一気の3連勝を波に乗った。

 チーム勝利に王手をかけようと井出五段が第4局に登場したが、相手はまたも伊藤叡王。井出五段が先手番から四間飛車に美濃囲い、後手番の伊藤叡王が居飛車に穴熊を採用。対抗形の将棋になった。これ以上負けられないとばかりに伊藤叡王はじっくりと待ちの姿勢を取ったが、ただでさえ固い穴熊を金銀4枚、さらに角も加えてガチガチに自玉を囲い込んだ。これに解説の門倉啓太五段(37)は「後手玉が堅すぎて戦う気がしないですね。あれに対して戦う気がしない」とコメント。さらに聞き手の内山あや女流初段(20)も「ちょっとやる気がしないですね」と苦笑いした。

 ところがこの声が聞こえていたのか、2人が話した直後に強固な穴熊にアタック開始。端攻めでペースを掴み、一時はABEMAの「SHOGI AI」でも勝率65%前後までリードした。結局、勝負は意地を見せた伊藤叡王が勝利したが、井出五段の健闘ぶりを称えるコメントも多く集まっていた。

◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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